七夕当日、ジュール隊では浮かれる男が目に付いた。
言わずとも無くディアッカである。

仕事はちゃんとこなす。何処も彼処もぬかりはない。
だが合間あいまを見計らい、隊員をひっ捕まえてはミリアリアの自慢、手の空いた人間見つけては夜の計画を事細かに話す……そんな行動を繰り返していた。
それはイザークの癇にも障ったし、生真面目軍人・シホにしても、腹立たしい事この上ない姿であった。

だが二人は我慢した。久々に恋人(ディアッカ説)と会えるのだから、嬉しいのはしょうがない。少しは大目に見てやろう……と。

評議員と国家元首間の競技終了後、あろうことか元首とそのボディーガードにまで話を広めるのを見た時も、シホは何とか耐えた。これはイザークから、あの二人は顔見知りだから問題ない、と言われたためである。
断わっておくが、内容で耐えたわけではない。仕事中に私情を挟むなんてもっての外、というのがシホの持論だ。耐えたのは全て、イザークが「耐えろ」と言ったため。
シホにとって、イザークの言葉こそが絶対なのだ。

しかし、本日の会議も終了し、後は雑務を片付ければ本日の仕事終了――という時に、ディアッカはそれら全てを放棄して宿舎に帰ろうとして……


――たまりにたまったシホの怒りが爆発した。

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