運命の再会



「地球で真面目にジャーナリストやってるかと思えば、こんな犯罪集団の仲間になんか成り下がって……」

そこまで言って、ハッと息を呑む。
違う。こんなこと言いたかったんじゃない。思ってもいない。
どうしてここにいる――? 訊きたかったのはそれだけだったのに、放たれた言葉は、全く別の意味のもので。
ミリアリアの肩もまた、わなわなと震え出した。

「……んで、何で私がこんな奴らの仲間になんなくちゃいけないのよ! バカじゃないの?!」
「バカ――ってなあっ……!」

失言は大いに認める。けど、その言い草はあんまりじゃないか?
思わぬ反論に、口元が、目元が、ぴくぴくと痙攣さえ起こしてくれる。

「あんたこそ、こんな所で何やってるのよ。任務って?」
「一般人に、んなこと話せるか」
「何が一般人よ。人の事、疑ってるくせに」

銃を向けられている緊張感が無いのか、ミリアリアは踏ん反り返って言い切った。
そこがまた、解せない。

「……お前さ、自分の立場分かってる? 俺がこの引き金引いたら、お前、頭吹き飛ぶんだぞ?」
「それが納得行かないって言ってるの」

態度を変えず、ミリアリアは睨み上げる。

「あんたが私に、平気でそんなもの向けるの、全然納得できない。私なら……絶対出来ない」

少し目を伏せて、長いまつげを揺らしながら。






「私……こんなに嫌われてたんだ」





ディアッカは――激しく動揺した。
彼女の姿に。悲しげな姿を見せるミリアリアに。
なぜ今、そんな話になる?
いや、そもそも――


「嫌われたって、何だよ」


辛そうな声が耳に届き、ミリアリアは顔を上げた。
今にも泣き出しそうな、ディアッカがいる。


「俺がどんだけお前のこと考えても、お前は全然、俺のこと、考えちゃいねえ」


苦しそうに。


「俺がどんな思いで、あの機体乗ってたと思う?」


驚きすぎて、声も出なかった。
デスティニーに制止を促したら、ミリアリアが現れて。
なぜ彼女がこんな――プラントの一企業の倉庫にいるのか――ごちゃごちゃの頭を整理している内に、デスティニーは奥に行ってしまって。


「何であんな、危険なことすんだよ」
「……MS同士の間に入ったこと、言ってるの?」
「当たり前だろ!」

どれだけ怖かったか。
危害を加える、加えないの前に、ミリアリア一人くらい、移動の際に起きる振動だけで、簡単に転ばせてしまえるのだ。あんな近くに生身のままいたら、危険なことこの上ないのに。
いつの間にか、立場が逆転する。
怒る側から、怒られる側へ。


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