天使の導き







「……んだあ?!」

ドッグにやって来たアネハは、開いた口が塞がらなかった。
彼の目は捉えていた。
ザフトとの交戦のため、あらかたMSが出払い静かになったドッグから、レジェンドが出撃していく姿を。

「あいつ、MSで――」

――逃げる気か、と続ける気だったが、後を追うようにやってきたMSの姿に、度肝を抜かれてしまう。
それはデスティニー。
扱い辛く、乗り手が決まっていなかったMSもまた、宇宙へと飛び立とうとしている。



なぜ?
誰が?



どちらにしろ、レジェンドに乗っているのは間違いなくレイ。


「待ちやがれ!」


咆哮とともに、アネハはレジェンド改に乗り込み、とりあえずデスティニーを停止させようとした――が、


「誰だ、お前!」
《邪魔だ!》


早く追いつこうと意気込むシンは、改式を力技でねじ伏せると、足早に宇宙へと飛んでいく。
アネハの闘志に、怒りが加わる。


「……どいつも、こいつも……人のこと、馬鹿にしやがって!!」


それは簡単にあしらわれたため――だけではない。ライドンへの不満、レイへの嫉妬心などで膨らんだ「怒り」であった。
憎しみのまま、アネハは出撃する。
そしてもう一機――彼の後を追うように、ドッグで整備されていたMSが宇宙へ飛び出し、


「だーっ、もう! なんでこうなるんだよーッ!!」


いつの間にドッグに入り込んでいたのか――脇に隠れていたヤナックもまた、残されていたMSに乗り込み、遥かなる宇宙へと飛び出した。



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