天使の導き


〈シンはもう、だいじょうぶ〉



そっと。



〈シンはもう、しってる〉



深く。



〈シンは、チカラのつかいかた、しってる。だから、だいじょうぶ〉



冷え切った指先に、ぬくもりが灯る。
まるで、手を握られたかのように。



〈じぶんを、しんじて。このコを、しんじてあげて〉



どうやって、自分を信じろと言うのか。
こんな自分を。
悩んでばかりの自分を。
ただ、逃げ出すことしか出来なかった自分を。


……けど。



〈みんな、シンのこと、だいすきだよ〉



ステラの声が。



〈あのオトコのコも、シンのこと、スキなの〉



ぎゅっと、伸ばしていた右手を握り締める。



〈シン、もうすこし、がんばろう?〉



もう少し。
あと少しだけ。


〈シンのだいすきなヒト、まもるために〉



この恐怖と、戦おう。





〈シンのトモダチは、シンを、まってる!〉





赤い瞳は開眼した。





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