天使の導き アスランとメイリンを沈める記憶。 ジブリールを匿ったオーブと戦う記憶。 アスランとの戦いを止めようとしたルナマリアを、傷つけそうになった記憶―― 〈やめてくれ――〉 蘇る。 あの時の、ルナマリアの声が。 〈――やめてくれ――〉 眼前に迫る、インパルスの姿。 止めようとしても止まらない機体。 いや、果たしてあの時の自分に、止まる意思はあったのだろうか。 悪魔が囁く。 あの時、お前は、ルナマリアを倒してでも、アスランを撃墜しようとしていたんじゃないのか――? 〈――やめてくれ!〉 あの時、お前は。 ルナマリアを殺そうとした。 「うわあああああああああああああっ!!」 絶叫が、コックピットを揺らす。 指先まで冷えていく感覚。 心も身体も凍え死んでしまう――そんな境地で、その声は聞こえた。 〈なかないで、シン〉 それまで奏でられた、悪魔の声ではない。 子供をあやすように響く、深海の囁き。 優しい優しい、天使の声。 ステラの声。 |