冷たい銃声


「ごめっ、シン君……」
「シン?」

二人に声をかけられたシンは、ぶつかられたにも関わらず、ある一点を見て立ち尽くしていた。
前方――人でごった返すデュッセルカンパニーのロビー奥、開かれたエレベーターを凝視して。


止まった足が、動き出す。
小さかった歩幅は、みるみる内に大きくなる。

鉄の扉が閉じていく中、シンははっきり見た。エレベーターに乗っている人物を。
金色の髪を。
無機質な瞳を。



あれは、さっきまで追いかけてた少年。
ずっとずっと、シンが会いたかった男の子――



「待って――」


間に合わないと分かりながら、シンは必死に手を伸ばした。
目が合う。


――友と。



「レイ!」


ばんっ!

無情にも閉じられた扉を叩き、シンは上を見た。エレベーターの現在地を示す光は、下方向へと点滅していく。別のエレベーターを待っている暇は無い。慌てて辺りを見回すと、上手い具合に、下層へ伸びる階段を発見した。
もう、この道しかない。

「あ、シン君!」

階段を駆け下りていくシンを、ミリアリアは追いかけようとしたものの、


「待って、ミリアリアさん。こっちの方が早い!」


呼び止めるライドンは、「業務用」と書かれた扉を開けていた。





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