ザフト襲撃




一方、とある船の中――

「お頭! カメラ発見されました!!」

――隠さず言うと、これからジュール隊その他諸々が討伐に向かうことになっている有名海賊団・ドゴラの愛船、ゼネピアスの中。

「ちっ。思ったよりやるじゃねえか……で? 準備は?!」
「いつでもいけます。『紅乙女』さえ停止状態を保ってくれれば」
「あれのレーダーは特許出願中って言ってたからなあ……くそ、あのぼっちゃん、頑張りすぎなんだよ。ちったー俺らに優しくしろって!」

ばしっと大きく、ガイストロは両手を叩き合わせる。

「でも、良いのじゃないと売れませんしねー」
「首領、どーすんですか? 突撃しちゃいます??」
「んー……」

腕を組み、ガイストロは頭を悩ませた。

この時間が一番、仕事がしやすい。だからこうしてやって来たのに、運の悪いことに、最新型レーダーを装備した改良機の受領式とブッキングしてしまった。あのレーダーが動いている以上、一定距離に入るとこちらの存在がばれてしまう。出来ることなら、二機から完全にパイロットが離れた後、『例の場所』に行きたいのだが……先延ばしにしすぎると、本日は一時撤退という事態になりかねない。二度手間は御免だ。

盗撮カメラの映像によると、あの二機は、試運転を済ませている。手馴れた二人のパイロット……前情報によれば、二機が戦艦に移動するのは明日のはずだ。

ならば。

「さっさと済ませて、パーティとでも行くか!!」

その瞬間、ゼネピアスの航行が始まった。
静かに、ゆっくり、宇宙船は管の様な通路を進んでいく。

――後ろ向きに。

「仕事は手早く、円滑にってな」

そしてグラン・ガイストロが席を立つ。
数人の部下を引き連れ、武器を持ち、ゼネピアスの後部出入り口で、期を窺う。

どれくらいの時間、そうしていただろう。静かに、音も立てずに船が止まった。


《お頭、開けますぜ!》
「おう!」


返答と同時に扉が開く。するとそこにはもう一つ、まるでシェルターの入り口の様な、大きな扉があった。
部下が息を呑む中、ガイストロは悠然と、壁に設置されたカードリーダーと対面する。

「……準備は良いな?」

部下達は声を出さず、無言のまま頷いた。それを見届け、ガイストロは、内ポケットから銀のカードを取り出し、リーダーに通す。


がこんっ。


軋む音とともに、開かれていく大きな扉。
中には、これまた巨大な代物があった。

とてもとても大きな、二機のMS。

ガイストロを筆頭に、彼らは巨大な室内に攻め込んだ――





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