未来の道標 この場は、シンにとって、傷を癒す場となっていた。 疲れたり、へこたれたりしそうになった時に来る場所。そこには時にミリアリアが居て、彼女は悩みを聞いてくれた。 ルナマリアはそれを知っている。 シンとミリアリアだけの『場所』だと思っているからこそ、これまで二人の輪に入ろうとしなかったのに。 星明りが、ルナマリアを照らす。安心したように、そして喜ぶルナマリアの表情を。彼女の微笑を見るだけで、シンの心も安らいでいって。 ――と、彼の視界の端に、ディアッカとミリアリアが映った。 とても幸せそうな二人の姿、シンは感じ取る。 〈もしかして……〉 プラントに残ると告げた、ミリアリアの真意を。 彼女にしか出来ないこと、それは今、自分が直面しているものと同じ質のものではないかと。 ずっと傍に居てくれたルナマリア。 ずっと自分を守ってくれたルナマリア。 ずっと支えてくれたルナマリア。 大切な「仲間」から、かけがえなく大切な「存在」となったルナマリアを、自分の手で守りたいと――…… 「あ、流れ星!」 ミリアリアの声に、四人は空を見上げた。 星が流れる。 寂しさが去来する。 それだけじゃない。 悲しみを。 苦しみを。 痛みを。 宇宙に舞う光が、思い出させてくれる。 そして導いてくれる。 「まるで……見守ってくれてるみたいだ」 たくさんの愛しい人たち。 戦争が奪っていった、たくさんの人たち。 シンの中に根付く思いが、軽くなることは無い。 ずっとずっと、深く刻まれたまま。 ルナマリアが一歩近づく。少しだけ寄り添うように、シンを支えるように、彼女は立つ。 そして見上げた。シンの見る星空を。 ――星は、今日も無言で輝いている―― 〜fin〜 NEXT>>>extra episode [The last story of a star] |