伝説の嘆き






アスランと合流したルナマリアは、レベッカへと向かっていた。
レベッカを止める。レベッカの中に蓄積された動力源を、Lシステムに転送させないために。
しかしレベッカの防衛システムは強固の上、衛生を囲むように作られた外壁は、その辺の武器では太刀打ちできないほどの耐久性をもっている。

「どうやって近づくんですか?」
《このプログラムを開いてくれ》

アスランの指示を受け、ルナマリアは転送されたプログラムを開いた。
それは、マニュアル。
ローズシリーズ特有の、ある電磁系統のプログラムマニュアルだ。

「これが……」
《ライドンは、エルザがスイッチの役割をする、と言ったんだろう? それが、このプログラムだ》

広範囲における外部干渉――ルナマリアは、それだけだと思っていたが――違う。これはもっと、大きな力だ。
通信やシステムラインだけではない。

《レベッカには高機能の防衛システムが張り巡らされている。特定ラインを超えると、システムに探知されて攻撃を受ける、というものだが……このプログラムを使えば、サーチに引っかかることなくレベッカに近づくことが出来る。そして――これ》

アスランが開いたであろうページが、ルナマリアの画面でも開かれた。
軍から支給されたマニュアルには載っていなかった『兵器』がある。

《背面に設置されてるブースターを組み替えることで、このキャノン砲を作ることが出来る。これなら、レベッカのコーティングの破壊も可能だ》


より安全に近づき。
より確実に崩す力。
二つを兼ね備えたのが、ローズシリーズの二機体。


《レベッカからエネルギー転送が行われているはずだ。そこを叩く!!》
「はい!!」

説明していくうちに、二人はレベッカを視界にとらえた。衛生から伸びる、アンテナのような物体。それこそ動力源の転送台だ。
先端が光っている。それは、転送台が稼動している証。


早く止めなくては――


スピードが加速される。二機は一気に近づくと、転送台目掛け、同時にキャノン砲を撃ち放った。最初は別々の場所を攻撃していたが、あまり効いていない事に気付き、アスランの提案で根元部分への一点集中に切り替える。すると、ほどなくして外壁部分に亀裂が生まれ、それがある一定ラインを超えた時――静かに、そして激しく、転送装置は崩れ落ちていった。


「やった!」


ルナマリアが歓喜の声を上げる。これでもう、Lシステムへ動力を射出できないはずだ。
しかし、アスランの表情は引き締まったままだった。
座標画面には、大きなエネルギー体の影が三つ映っている。
一つは衛星エルザ。一つは衛星レベッカ。
その二つの衛星の真ん中に、二つと負けず劣らず、大きな熱源。

少しずつ、少しずつ、大きくなっていく。



Lシステムが――稼動速度を速めていく――……






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