君のための正義




その頃ミリアリアとディアッカは、シン達の動向から目が離せなくなっていた。ラクスの様子を見ながらも、つい視線はエルザの映像に行ってしまう。
ライドンの過去、彼がどうしてこのような行動に出ているのか、その一端を垣間見て、言葉も無い。

彼もまた、戦争の被害者。
戦争は、争いは、平和を簡単に壊していく。


「…………?」


憎しみに歪むライドンを見ていることが出来ず、ミリアリアは視線をそらす。すると――そこに、不思議なものを見つけた。
金属に映った、自分の姿。まるで質の悪い鏡に映りこむ左二の腕の袖口に、おかしなものを発見する。
何かの、痕。



〈……どこかに、ぶつけた……?〉



不審に思い、ミリアリアは直接、その部分を見た。
ほんのり小さく、赤く腫れている。中心部は、まるで針が刺さったかのような、小さな痣が出来ていて……



〈…………なに、これっ……〉



少なくとも、誘拐された朝には無かったものだ。
原因不明の痣の存在に、ミリアリアは、小さな恐怖を覚えた。





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