運命の再会




「お前、本社側のはずじゃ……それに、その機体――」
《色々事情があって、拝借したんだよ! ってか、何でお前、そんなにピンチなんだ? こっち手伝ってもらおうと思ったのに……》
「こっち?」


肩を落とすヤナックに、ルタは疑問符を飛ばす。


《後ろの問題児諫める手伝い》
「……後ろ?」


レーダーを見れば、ヤナックが乗り込んでいる機体の後ろに、同じ様に機影が確認できた。
ヤナックと後ろの機体は、敵を倒しながらこちらに進んでいる。これを見ると、味方のようである。
不思議に思い、ルタはヤナックから受ける周波数を回し、乗っている人間との通信を試みた。

刹那、


《ヤナックーッ!! あんた、後ろから来て、勝手に抜かして行くんじゃないわよ!》
《だって、ピンチの味方が目の前にいんだよ? シホっちだって、隊長がピンチだったら急ぐじゃんか!》
「――シホ?!」


さすがに、ルタは驚いた。
驚きの連続だ。
なんせシホは、昨日の段階で、まだ昏睡状態で…………



それが、一日経ってみたら、MSに乗って戦闘に参加している??



常識的に考えて、ありえない。
けど、乗っているのはシホだ。それは、ヤナックとのやり取りからも明らかで。


《おバカなこと言わないの! 麗しく無敵の隊長がピンチに陥るなんて、世界が滅んでもありえないわ!》
《シホっち、それ、支離滅裂すぎ!》


こんな発言をするのは、宇宙広しと言えど、シホくらいしか思いつかない。
そしてヤナックは、そんなシホを相手に、まるで子供をあやす様に説得し始める。


《とにかく帰って。な? ほら、今朝目覚めたばっかじゃんか。なのにさ、いきなり軍服着込んで現場乗り込んできてさ、こっちの制止も振り切って捜査に混ざってさ、あげく、敵機奪って戦場に飛び出すなんてさ、隊長ほんと、おかんむりだよ?》
《ふっ。隊長はそんなに、心の狭い方では無いわ!》


どこから来ている自信なのか、シホはヤナックの説得を切り捨てた。


《目の前に敵がいたならば、武器を持って突き進め! 隊長の素敵なお言葉よ、覚えておきなさい!》


本当にイザークがそんなことを言ったかは定かじゃないが――とりあえずシホの中では、尊い「イザーク語録」の一つなのだろう。そして彼女は、それを忠実に遂行しようとしている。
標準は、もう一つのレジェンド。
自分にこんな大怪我をさせてくれた、いわくつきの機体。


《こっちはねえ……プライドずたずたなのよ! よりによって、隊長の目の前で恥じかかせてくれてえええええっ!!》


咆哮一閃、シホはサーベルを抜き、レジェンド改式に突っ込んでいった。





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