運命の再会







――キリが無い――


ルタの瞳に、焦りが生まれ始める。
カンパニー側から、そして後方からとめどなく沸いてくるMSの大群に、ザフトは苦戦を余儀なくされた。
特に、ドゴラが所有する三隻の船。それぞれ、『ドラゴニア』、『ゴースト』、『ライトニング』と名付けられた宇宙船は、ドゴラのシンボルであり、母艦でもある。その全てが出撃しているのが、とにかく大きかった。
だが、あれを叩きに行こうにも、周りが鬱陶しくて前に進めない。下手に動けば、倉庫にいるライドンの逃走を見逃しかねない、という厄介ごともある。
そんな時、レーダーが、カンパニーから出てくる一つの機影を察知した。

「あれは……っ!」

その瞬間、ルタの身体を襲ったのは、電撃を受けるのにも似た衝撃だった。
伝えられる『自分と近しい者』接近の警告。いや、『近い』ともまた違うか。



自分と『同じ』者の存在。



機影を捉える。それは、レジェンドの姿。
きっと中にいるパイロットも、自分の存在に気付いているだろう。気付かなくては、お話にならない。
『彼』は、一番『成功例』に近い存在なのだから。


「止まれ――レイ・ザ・バレル!」


レジェンドの軌道を塞ぐよう、ルタは動く。しかしレジェンドも――レイもまた、それくらいで止まるわけにはいかなくて。


「邪魔をするな――ルタ・エ・スター!」


怯まず、突っ込んでくるレイを止めようと――捕まえようと、ルタは動く。
だがレイは、それを紙一重でかわし、飛び去っていく。


「――……レイ?」


掴みかけた腕から伝わるのは、沢山の悲しみ。
まさか、と思う。まさかレイから、こんな感情を受けるとは。
驚きのあまり、呆然とレジェンドを見送っていると、通信モニタが電文を受け取った。
それは、レイから。

「……これ、は……」

短い文章を見、レジェンドを目で追いかける。その頃には、レジェンドは遥か彼方へと消えていて――


「――?!」


直後、ルタのレーダーが新たな機影を捉えた。
二つの光。追いかけっこをするように同直線を走る光は、レジェンドと全く同じ軌道を飛んでいた。
その上、先に迫る光は、レジェンドを超える速さで動き――


「な――?!」


二つのフォルムを目で確認し、ルタは驚愕の声を上げる。
それは、一週間前に強奪されたデスティニーと、強奪の際に現れたレジェンドのコピー機。
ルタはもちろん戦闘体勢をとる。二機を良い様に扱わせてなるものか――と意気込んだ――その瞬間だった。




――それはまるで、光の如く。




前を飛ぶデスティニーは、あっさりルタの横を通り過ぎていった。
何もしなかったのではない。
何も、出来なかった。
ルタが反応できない速さでデスティニーは迫り、そして、彼を避けて飛んでいく。
もしデスティニーに攻撃の意志があったなら、ルタはこの一瞬で、撃墜されている。


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