時をさか上ること四時間前。
いち早く異変を察知したのはアスランだった。

午前中の出来事。
確かにマルキオは反抗組織の現状況、あわよくば鎮圧を目的としての訪島であるが、名目となっている[孤児院の視察]も、実は、彼の目的の一つに数えられている。
なので彼らは、孤児院へ向かっていた。
ラクスと、キラ、ディアッカ、イザーク、アスラン……レンタカーを借り、アスランが運転して、孤児院へ……
そして、車から降りた瞬間――

「――ラクス!!」

叫び、アスランがラクスを引き寄せ――まるで心臓を狙ったかのように、銃弾が一つ、ラクスのいた所を通過していく。
アスランの手の甲を掠めて。

「ようこそVIP殿。早速で悪いが、さっさと島から出てってくれ。じゃないと、痛い目見ることになるぜ?」
「貴様らのような化け物に、レテスティニを汚されるわけにはいかないんだよ!」

浴びせられる罵声に、ラクスは耐えた。
気を配れば、数人の若者が、アスラン達を囲んでいる。
彼らの感情を刺激してはならないことくらい、子供でも分かる。
二人の目の前には、銃を突きつけ、殺意を向ける青年達。

「……俺たちに何の用だ?」
「我々[レテスの涙]は、コーディネーターを決して許さない」

青年は、激しい憎悪と共に、そう吐き捨てた。



「……青き清浄なる世界のために」





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