「僕、あなたと遊ぶとか、そういう気は無いんで……」
「いいじゃない。そういう気を持てば」
「いや、そんなこと言われても……ちょっとアスラン! 気づいてるなら助けてよ!」

しかも、一人で振り解くことが出来ず、助けを呼びに来る始末。

「助けるって……嫌なら嫌と言えば良いじゃないか」
「そうだぞ、キラ・ヤマト。それくらい一人で何とかしろ」
「そんなこと言われたって……」

女性に目を戻せば、満面の笑みでこちらを見ている。
どうやって断れば良いんだろう……
こういう経験が無いわけではないが、数が極端に少なすぎて、良い対処の方法が分からずおろおろしていると、キラに絡んでいた女性は、堪えることが出来ずに吹き出してしまった。
キラの反応が、相当可笑しかったらしい。

「かっわい〜い。君、キラって言うんだ。私ネサラよ。よろしくね」
「いや、よろしく、じゃなくて……」
「どうせ男四人のむさ苦しい観光なんでしょ? 私の友達も入れて、みんなで遊びましょうよ」

言ってネサラは、キラの腕に手を回す。
その気は無いと言っているのに、しつこい態度……さすがに、キラの我慢にも限界が訪れた。

「やめて下さい。僕、これから行く所があるんです」
「行くってどこに?」
「ど――ええと……」

強く、それらしい理由を並べてみても、結局は言葉に詰まるだけ。
行く所の当てなんて無い。
行く所は――今探している最中だ。

「……キラ……せめてもう少し上手くやってくれ……」

キラのあしらい方の下手さ加減に、アスランは頭を抱えてしまった。
イザークもまた、呆れた眼差しをキラに向ける。そして、同じ瞳を、背後で勇猛果敢なアタックを繰り出している男にも向けてみた。

「じゃ、これ……私のメアドね」
「ああ、ちょっと待ってね。今送る……あ、携帯ホテルに置きっぱだ。帰ったら速攻、送っとくね」
「待ってるわよ?」

キラもキラだが、ディアッカもディアッカだ。
何故この男は、こんなにも饒舌なんだろう。
どうして、こんなにあっさりと、地元女性のメールアドレスなんぞを取得出来るのだろう。
あのテクニックを、もう少し仕事に生かしてはくれないか……と、上官らしい悩みが生まれた時だった。

「行くとこ、行く所……あ、ホテル! ホテルに戻らないと」

ようやくキラが、あしらう方法を思いついた。




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