【赤いクッキー登場秘話】 彼はご機嫌だった。 本日はホワイトデー。バレンタインに愛の告白を受けた男性が、お返しをする日。 ディアッカはご機嫌だった。 彼は思った。ただマシュマロやキャンディー、クッキー類を「お返し」として渡すのは、何か面白みに欠けると。どうせなら、ちょっとしたゲーム感覚を隠し味に入れたいと。 「で、何作ったんデスか?」 ディアッカの用意したプレゼントを覗き込みつつ訊くは、アウル。その後ろにはレイの姿もある。 二人とも、ホワイトデーの贈り物を考えている面子だ。 「んー? 箱を二つ用意して、片方には美味い美味いマシュマロを。片方には激辛パウダー入りクッキーを入れて、ミリアリアにどっちが良いか選んでもらうんだよ。当たりを引けば美味いもの、外れを引けば、不味いものが当たるって寸法さ」 「へー……あ、そのクッキーって、余りとかあったりして?」 何か閃いたように、アウルが尋ねる。 レイも、興味ありげに耳を傾ける。 「なんだ? お前らもやるか?」 「とりあえず味見してから。どんだけ威力あるか、自分の舌で確かめてからじゃないと」 こくこく、とレイも頷く。 「味見ねえ……ぶっ倒れても知らねーぞ?」 笑いながら、ディアッカは余ったクッキーを二枚取り出し、二人に渡した。赤く染まった、軽く異臭を放つクッキーを。 それぞれ、恐る恐る口の中に入れ…… 「〜〜〜〜ッ!! ――ッンだこれ!! 辛ッ!! まずッ!!」 「だーから激辛パウダー入りっつってんじゃんかよ……」 「水!! みずーッ!!」 水を求め、アウルは激走していく。 片やレイは、と言うと…… 「……美味い」 「マジか?!」 レイのもらした一言に、ディアッカは思いっきり後ず去ってしまった。 -end- 結びのコトバ そしてアウルはこのクッキーでルナマリアをからかおうとして、レイは「絶品なクッキー」をメイリンに渡そうと決めたという…… そんなシークレット話(笑) - 67 /69- |