サイ*ミリアリア*… 「こんな所にいた!」 彼女を見つけるや否や、サイは眉間にしわを寄せた。 その視線の先では、草原に寝っ転がるミリアリアが、慌てて身を起こしていて。 「ごめん、サイ! なんだか気持ちよくって……」 「まあ、その気持ちも分かるけど……」 はあ、と大きなため息と共に、サイは額を押さえる。 その上空では、ごおおおお……という音を立てたジェット機が、すぐ傍の大きな施設から飛び立って行く姿が見て取れた。 ここはオーブの航空施設。戦時中、一度破壊されたマスドライバを修復した際、同施設内に航空用の滑走路も作り、一大ターミナルに生まれ変わらせたのである。 「そろそろ行こう。もうすぐ搭乗手続き始まるから」 「もうそんな時間なんだ」 言われ時計を見ると、正午を少し回ったところだった。 これから二人はプラントに向かう。 サイは、システムエンジニアの技術研修で。 ミリアリアは――観光で。 数日前、ミリアリアは、サイが今日プラントに発つと知った。彼女もまたプラントに行く予定があったので、どうせなら一緒に行こう、と日程を合わせたのである。 おかげで、少しの時間であるが――めずらしい二人旅。 「……ところで、ディアッカは知ってるのか? ミリィがプラントに行くの」 「ううん。教えてない」 笑顔で言い切るミリアリアに、サイは――……苦笑いしか出来なかった。 end 廻る想い。 一応ラストの話…ということで、エンドレス的な思惑を含めて。 - 54 /69- |