サイ*ミリアリア*…



「こんな所にいた!」


彼女を見つけるや否や、サイは眉間にしわを寄せた。
その視線の先では、草原に寝っ転がるミリアリアが、慌てて身を起こしていて。

「ごめん、サイ! なんだか気持ちよくって……」
「まあ、その気持ちも分かるけど……」

はあ、と大きなため息と共に、サイは額を押さえる。
その上空では、ごおおおお……という音を立てたジェット機が、すぐ傍の大きな施設から飛び立って行く姿が見て取れた。
ここはオーブの航空施設。戦時中、一度破壊されたマスドライバを修復した際、同施設内に航空用の滑走路も作り、一大ターミナルに生まれ変わらせたのである。

「そろそろ行こう。もうすぐ搭乗手続き始まるから」
「もうそんな時間なんだ」

言われ時計を見ると、正午を少し回ったところだった。
これから二人はプラントに向かう。
サイは、システムエンジニアの技術研修で。
ミリアリアは――観光で。

数日前、ミリアリアは、サイが今日プラントに発つと知った。彼女もまたプラントに行く予定があったので、どうせなら一緒に行こう、と日程を合わせたのである。
おかげで、少しの時間であるが――めずらしい二人旅。

「……ところで、ディアッカは知ってるのか? ミリィがプラントに行くの」
「ううん。教えてない」

笑顔で言い切るミリアリアに、サイは――……苦笑いしか出来なかった。




end
廻る想い。
一応ラストの話…ということで、エンドレス的な思惑を含めて。

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