ステラ*アウル*スティング 「ねえ、ステラもおちゃ、のみたい」 「茶?」 「あっち」 現実と違う世界。 命を奪われたものが住まう場所でのお話。 白い雲の上に置かれたテーブルと、三つの椅子。そこに腰をかけるステラは、隣に座るアウルを導くように、右手を指差した。 右手――右隣にある白い雲の上に、自分達と同じ様にテーブルにつく男女の姿を見つける。 「……たのしそう」 「そーか? 女が怒り狂ってるだけのようにしか見えねーけど……あ、突っ伏した。口喧嘩に負けたかぁ?」 「何がそんなに楽しいんだ?」 アウルが事の成り行きに笑い転げ出した時だった。席を離れていたスティングが、呆れながら現れる。 三つのティーセットを置いたプレートを手にしながら。 「おちゃ!!」 「紅茶だ、紅茶」 軽く訂正しつつ、スティングはテーブルにプレートを置く。 「よく分かったな〜、スティング。ステラが茶飲みたがってるの」 「いや、俺が飲みたかったんだ」 「……さいですか……」 ゆっくりカップを口にするスティングに続き、ステラ、そしてアウルも紅茶を飲み始める。 すると、一口含んだ瞬間、ステラとアウルの顔色が変わった。 「これ……」 「なんだか無性に飲みたくなったんだよ」 それは連合に属していた頃。ネオの部下になった頃。 彼が、自分達のために、よく作ってくれた飲み物の味。 あれは紅茶だったのか、とアウルは初めて知った。 「結構苦労したんだぞ? この味出すの」 漂うのは、ネオが、自分達のためだけに作っていた、紅茶の香―― end 兄弟みたいで大好きな三人組です。 隣で言い合い繰り広げてるのは… - 52 /69- |