ステラ*アウル*スティング



「ねえ、ステラもおちゃ、のみたい」
「茶?」
「あっち」

現実と違う世界。
命を奪われたものが住まう場所でのお話。

白い雲の上に置かれたテーブルと、三つの椅子。そこに腰をかけるステラは、隣に座るアウルを導くように、右手を指差した。
右手――右隣にある白い雲の上に、自分達と同じ様にテーブルにつく男女の姿を見つける。

「……たのしそう」
「そーか? 女が怒り狂ってるだけのようにしか見えねーけど……あ、突っ伏した。口喧嘩に負けたかぁ?」
「何がそんなに楽しいんだ?」

アウルが事の成り行きに笑い転げ出した時だった。席を離れていたスティングが、呆れながら現れる。
三つのティーセットを置いたプレートを手にしながら。

「おちゃ!!」
「紅茶だ、紅茶」

軽く訂正しつつ、スティングはテーブルにプレートを置く。

「よく分かったな〜、スティング。ステラが茶飲みたがってるの」
「いや、俺が飲みたかったんだ」
「……さいですか……」

ゆっくりカップを口にするスティングに続き、ステラ、そしてアウルも紅茶を飲み始める。
すると、一口含んだ瞬間、ステラとアウルの顔色が変わった。

「これ……」
「なんだか無性に飲みたくなったんだよ」

それは連合に属していた頃。ネオの部下になった頃。
彼が、自分達のために、よく作ってくれた飲み物の味。
あれは紅茶だったのか、とアウルは初めて知った。

「結構苦労したんだぞ? この味出すの」

漂うのは、ネオが、自分達のためだけに作っていた、紅茶の香――




end
兄弟みたいで大好きな三人組です。
隣で言い合い繰り広げてるのは…



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