ルナマリア*シン



「シンってば、全然分かってない!」
「〜〜なこと言ったって――」
「シンの分からず屋!!」


ばんっ!


怒号と共に、ルナマリアはシンの部屋を後にした。残されてしまったシンは――ただ、うな垂れるだけ。
どうやらルナマリアは、自分とフリーダムのパイロットを会わせたいらしい。気付いているのだろう。自分の中で彼の存在が、どれだけ大きな影を落としているのか。

目を合わせるのも怖かった。

何が怖い、なんて――……具体的には、自分でも分からないけど。


「ねえ、シン」


扉の向こうから、ルナマリアが話しかける。


「このままじゃ、シン、ここから動けないよ?」


会って、話して、どうなるものとも思えないけど。
もしかしたら、憎しみの方が膨れ上がってしまうかもしれないけど。
ルナマリアが……自分を思って行動しているのも分かるけど。

……頭を過ぎる、金髪の少女。

守れなかった、尊い命。
彼に会ったら、この悲しみはどう変化する――?


<……ステラ……俺……>


祈るように、シンは天を仰いだ。



end
まだ葛藤の中で生きるシンと、それを支えるルナマリア。
シンの傷が癒えるのはいつ…



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