ニコル*トール*フレイ 「はーい。お茶入りましたよ〜」 現実と違う世界。 命を奪われたものが住まう場所でのお話。 白い雲の上に置かれたテーブルと、三つの椅子。そこに座るトールとフレイに、お茶セットをを運ぶのは――ニコルだった。 テーブルに頬杖をつくフレイは、少々ご機嫌斜め。 ニコルは小首を傾げながら、トールに訊いた。 「……どうしたんですか? 彼女」 「ん? いつもの気まぐれ我儘病」 「何よ、それ!」 憤慨し、フレイはテーブルを叩きながら立ち上がる。 「私、変なこと言ってないわよ?! キラに会いたがっちゃ、そんなに駄目?!」 「それは……超えてはいけない一線ですね」 お茶を二人の前に出しながら、ニコルは苦笑いをするに留めた。おかげでフレイは、もっと頬を膨らませる。 「ニコルって、どうしてそんなに冷静なの?」 「そうですか?」 「冷静っつーか、落ち着いてるよな。比べてみると、断然フレイの方が年下に見える」 「トール!!」 横槍を入れるトールに、フレイが噛み付いて。 そんな彼女に、ニコルはささやく。 「僕だって、会いたい人はたくさんいますよ? でも言葉にしたら、もっと会いたくなるから……我慢してるだけです」 「だとさ、フレイ」 「……分かってるもん……」 それでも、考えてしまうこと。 「……キラに会いたいな……」 呟くフレイを慰めるように、トールは優しく、彼女の髪を撫でた。 end 一度で良いから書いてみたかったんです、この三人の絡み。 - 49 /69- |