ニコル*トール*フレイ



「はーい。お茶入りましたよ〜」

現実と違う世界。
命を奪われたものが住まう場所でのお話。

白い雲の上に置かれたテーブルと、三つの椅子。そこに座るトールとフレイに、お茶セットをを運ぶのは――ニコルだった。
テーブルに頬杖をつくフレイは、少々ご機嫌斜め。
ニコルは小首を傾げながら、トールに訊いた。

「……どうしたんですか? 彼女」
「ん? いつもの気まぐれ我儘病」
「何よ、それ!」

憤慨し、フレイはテーブルを叩きながら立ち上がる。

「私、変なこと言ってないわよ?! キラに会いたがっちゃ、そんなに駄目?!」
「それは……超えてはいけない一線ですね」

お茶を二人の前に出しながら、ニコルは苦笑いをするに留めた。おかげでフレイは、もっと頬を膨らませる。

「ニコルって、どうしてそんなに冷静なの?」
「そうですか?」
「冷静っつーか、落ち着いてるよな。比べてみると、断然フレイの方が年下に見える」
「トール!!」

横槍を入れるトールに、フレイが噛み付いて。
そんな彼女に、ニコルはささやく。

「僕だって、会いたい人はたくさんいますよ? でも言葉にしたら、もっと会いたくなるから……我慢してるだけです」
「だとさ、フレイ」
「……分かってるもん……」

それでも、考えてしまうこと。


「……キラに会いたいな……」


呟くフレイを慰めるように、トールは優しく、彼女の髪を撫でた。



end
一度で良いから書いてみたかったんです、この三人の絡み。



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