メイリン*アスラン



「アスランさん、こんなのどうですか?」
「インパクトに欠けるな。もっとこう……一生忘れないような、脳裏に刻まれて離れないような物を……」
「そんなの買って帰ったら、カガリ様に怒られますよ」

オーブ印のストラップセットを手にしながら、メイリンは頬を膨らませた。
とある有名なオーブの土産物専門店での一幕である。
今、オーブにイザークが来ている。彼が帰る前に、土産の一つも持たせたい――そう言ったのはアスランだった。
そしたらカガリから、「お前一人じゃ心配だ」と言われ、メイリンが付添い人として、一緒にお土産を選ぶことになった。


<……俺、そんなに変な趣味をしてるか……?>


一体何を心配されているんだろう……なんて怪訝に思いながら、彼はドクロ印の入った小箱を目にしていた。
例えばあんな形の物の方が、土産を貰ったという喜びに加え、「驚き」というサプライズも着いて良いと思うのだが……メイリンから、すかさず「却下」の二文字が飛び、肩を落とす。


「あ、アスランさん! こんなのもありましたよ!!」


声も高々に、メイリンは違う品をアスランの元へ持ってくる。
今度は一体何を見つけたのか――と呆れようとしたアスランの目が、少し、色を変えた。

「どうです? これ。すごく綺麗……」

それは、金色に光ピアノの形のオルゴール。
ピアノはアスランに、「彼」を思い出させる。また、切なげな音色も、その思いを増長させた。
もう一度、会いたい少年を。


「……ニコル……」



end
ピアノを見て思い出す、大切な命…



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