イザーク*カガリ



「――?!」


その瞬間、イザークは身体を震わせ、そして辺りを見回した。
何の変哲も無い、ただの公園で。
他と違うところと言えば、ここがオーブ官邸の敷地内にある、というくらいか。


「何だ? 風邪か?」
「なんでもありません。寒気がしただけです」
「そうか。でも気をつけろよ? 温暖なオーブとは言え、朝晩は冷えるからな」

声をかけるのはカガリ。そんな二人を、遠巻きにSPが囲んでいる。
ほんのり軽く、二人っきり。

「……ところで代表。なぜ貴方は、私を呼んだのですか?」

不思議で仕方がない話題を、イザークは切り出した。
一国の代表が、要人の付き添いでやって来た一軍人を呼び出した。さぞかし重要な話があるのだろうと構えて来れば、公園に連れ出され、なぜか散歩につき合わされている。
怪訝な眼差しでカガリを見ると、彼女は仁王立ち、あっけらかんと告げてくれた。

「アスランに会いたいだろうと思って」
「…………失礼します」
「あああ、待て! 待ってくれイザーク!!」

冷ややかな目と共に踵を返そうとするイザークを、カガリは必死になって止めた。

「せめて、オーブ土産だけでも貰ってやってくれ! お前やディアッカのために、今、色々探してるはずだから――」
「アスランの趣味で選ばれた土産なんか、持って帰れるか!」

何か――「アスランの趣味」という単語に相当引っかかるものがあるのか、イザークは、敬語も忘れて怒鳴ってしまう。
だがカガリも、腕を掴んで離さなかった。

「大丈夫だ! 土産は多分、メイリンが選ぶから――」
「メイリン?」
「ああ。アスランだけじゃ心配だからな。一緒に選んでもらってる。あの子は普通の審美眼持ってるから、安心して待っててくれ。な?!」

説得しながら、カガリはメイリンに祈っていた。
頼むからアスランに流されず、「ごく普通の土産物」を買ってきてくれ――と。



end
多分イザークは、「アスランの土産」でかなり痛い思いをしたことがあるのだと(苦笑)



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