ディアッカ*シホ



「……荒れてんなー……」

ザフト本部。ジュール隊の司令室に足を踏み入れたディアッカは――そのまま一歩、足を引いてしまった。
中にいるのはシホ一人。
なのに室内は、まるで乱闘騒ぎの後のごとき散らかりようで、そんな中に佇むシホは、ドス黒いオーラを放っている。

「……ああ、あんた」
「生気無ぇなあ」

出来ればそのまま退散したかったが、彼女に見つかってしまい、その期を失った。
渋々と、ディアッカは足元に散乱する書類を揃えつつ、全てを見透かす瞳をシホに向ける。

「そんなにイザークが恋しいか」
「分かりきった事訊かないでよ!」

叫び様繰り出される拳は、風を切り、机にめり込む。

「あんただって、彼女が突然一人で旅行になんて行ったら悲しいでしょ?!」
「そりゃあ……あ、でも俺とミリィの場合、遠距離だし、結構事後報告の方が多いような……」

と呟いて、

「つーかお前、イザークの恋人でもなけりゃ、あいつ、旅行に行ったわけでもねーし」
「そんなこと関係ないわ!! 問題なのは、隊長が私を置いて出張に行ったってとこなのよ!!」


――旅行っつったのお前じゃんか――


という非難の言葉は、かけても無駄なのでやめておく。

「ひどいです隊長―ッ!! こんな愛らしい部下放ったらかして、一人でオーブに長期出張なんてえええええええっ!!」
「今頃、姫さんと仲良くやってたりしてな」
「もおおおおっ! くーやーしーいーッ!!」

叫び――シホは、イザークの机に泣きつくのだった。



end
暴走系シホ。かなり書きやすいです。



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