ミリアリア



「良い風〜!」

ほのかに温かい風を身に受けながら、ミリアリアは大きく深呼吸をした。
オーブ郊外にある、大きな施設の裏手に広がる、緑豊かな丘の上で。

「あー、もう、ずっとこーしてたい……」

草の上に寝っ転がって、ミリアリアは空を見上げる。
太陽が輝き、穏やかな雲の流れる空。
なんて平和な空間だろう。


「プラントは……どんな感じなのかな……」


その思いは、口に出す気は無かったのだが、ぽろっと言葉となって放たれてしまった。
天候も全てコンピューターで統制されているプラント。
そこにいる、彼女の思い人。

「……会いたいなあ」

貴方は今、何をしてるの?
どんな空を見てるの?
こんな恋慕の思い、目の前にいたら絶対に言えないけど。

「ディアッカ」

呼びかけるように、ミリアリアは空に向けて名を紡いだ。



end
地球から、プラントにいるディアッカに会いたいと願うミリアリアさんの姿。
短編集一本目です。

*前次#
戻る0


- 45 /69-