※前書き
水族館に遊びに来たディアッカとミリアリア。イルカショーで盛り上がり――……





「うわあ、すごいすごい!!」
「思ったよりすげーな、イルカショーって」

「やっぱり、乗り気じゃなかったんだ」
「やっぱり?」

「水族館行こうって行ったら、あからさまにヤな顔したじゃない」
「してないしてない。驚いただけ」
「絶対した。あれは絶対、小馬鹿にした」
「そりゃ、この歳になって水族館誘われるとは思わなかったからさー……」

「で? 来てみた感想は?」
「感激で涙出そう」
「……その顔で言っても、説得力無いわよ……?」

「そう、引くなよ……ちょっとオーバーに言ったけど、感動してるのは事実なんだから」
「ホントにしてる?」

「圧巻だね」
「…………うん」

「よくあんなに飛べるよなー」
「すごく綺麗……」


「今日は写真撮んねーの?」
「撮りたいけど……やめとく。カメラ持ったら、撮ることに専念しちゃいそうだから」
「困った職業病だねえ」
「いーの。自覚してるから良いの」

「じゃ、俺が撮ってやろうか?」
「良いよ。一緒に観てよ?」
「俺はお前と違って、写真を一番に考えないし」

「でも……」

「せっかくミリアリアと来た、初めての水族館だしさ……記念写真の一枚くらいは欲しいんだよな」
「私一人だけの?」
「一人、嫌?」

「記念写真なら、二人で撮った方が……」

「へー。ミリアリアさんたら、結構さびしがり屋でいらっしゃる」
「なんで茶化すのよ! 普通、こういう記念写真なら、二人で撮ってもらうんでしょ?!」
「まあ、普通はそうなんだけど……他人と同じことしても、面白く無いじゃん」
「だからって――」


「そんなに、俺と撮りたい?」
「――――」
「おやおや、黙っちゃって。世の中、はっきりちゃんと伝えないと、分かんないこともあるもんだぜ〜?」


「…………りたい……」


「聞こえねーな」

「撮りたい! 二人で写りたいって言ってるの!!」

「よくできました」





-end-
いつもは写真を撮る生業をしているから、遊ぶ時くらいは撮らないように――今回のミリアリアさんは、そんな心境らしいです。



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