1 ※前書き 庭先で見つけた小さな花を、ミリアリアに差し出すディアッカ。けどミリアリアは、その真意を把握しきれなくて――…… 「……何? これ」 「花」 「それは、見れば分かる」 「なら聞くなよ」 「何であんたが私に花を渡すのかって訊いてるのよ!」 「強いて言うなら、好きだから」 「…………私、耳おかしくなったかしら。それとも、あんたの理解力が地に落ちたのかしら」 「多分、ミリアリアの読解力が乏しいだけだと思う」 「言い切ったわね?」 「ごめん。言い過ぎた。謝るから、耳抓るのだけは止めて下さい」 「なら、ほっぺた抓って良い?」 「うーん、それも勘弁願いたい……」 「じゃあ、どこ抓れば良いのよ」 「そんなに抓りたいの?」 「うん。思いっきり抓りあげたい」 「んー………………あ、ここなんてどう?」 「…………本気でケンカ売ってる?」 「あらー……まさか、いつもの冗談まったく通じないほど怒ってらっしゃる?」 「通じるように見えるなら、本当のアホね」 「機嫌直せよ、ミリアリアー。悪かったって」 「誠意が全く見えないから却下」 「誠意……? 庭先で、どうやって誠意見せんの?」 「庭先でも、見せようと思えば見せられるわ」 「例えば?」 「……少しは自分で考えなさいよ……」 「それもそーだな。――じゃ、ほい、お姫様」 「? ……手なんて出されても、あげるものなんて何も無いわよ?」 「おいおい、これくらいは察してくれよ。ほら、手」 「手、って……ええ?! 乗せろってこと?!」 「…………なんか、泣きたくなってきた」 「あんたが泣く理由、どこにあるのよ」 「意思が全く伝わらなくて」 「表現方法が悪いんでしょ」 「誠意を見せろってゆーから、手を取って、お家までエスコートしようとしたのにさー」 「……それ、誠意……?」 「家の中まで、躓かないよう慎重にエスコートしようという気配りは、誠意に当たりませんか?」 「そう言われたら……まあ、うん。そうねえ……じゃ、仕方ないからエスコートされてあげる」 「棘あるなあ」 「……とか言ってる割に、すっごいにやけてるけど……」 「だって、ミリアリアと手ぇ繋げてるから」 「!!!! は、離して! 何で握ってるのよ! エスコートって、添えるだけでしょ?!」 「嬉しいもんは、しようが無いって」 「……う、れしい?」 「言ったじゃん。好きだから花を渡したって。好きだから、手をつなげるのも嬉しいの」 「……ふぅん……」 「ミリアリアは、俺と手ぇ繋いでも、嬉しくない?」 「……悔しいから、絶対、嬉しいって言ってやんない」 -end- 素朴アイテム「花」で「手を繋ぐ」まで持っていけるディアッカさん。 ある意味特技(笑) - 41 /69- |