シン×カガリ



※前書き
外でデート中、ソフトクリームの売店を見つけたカガリ。暑いこともあって、彼女は自ら、二人分のソフトクリームを買ってきたけど――……




「ほら、シン。ソフトクリーム」
「…………」
「何だ、その蔑んだ顔は」
「呆れてるんだよ」
「呆れる? 人がせっかく買ってきてやったのに、呆れるとはどういうことだ!」

「今、俺らってデート中――だよな?」
「そうだな。日差しが眩しすぎるのが玉に瑕な気もするが、思いっきりデート中だな」

「ふつー、男が買いに行くもんじゃないの? こーゆーのって」
「そうか?」
「そーなの」

「けどお前、店に気付いてなかったじゃないか」
「だから、あんたも気付いたなら、指差すなりなんなりして、俺が店に気付くよう仕向けろよ!」

「そんな面倒なこと、いちいちやってられるか! 大体、どうして私が責められなくちゃならないんだ?!」
「だって、これ、あんたの奢りってことだろ?!」
「お前に奢られる気は毛頭無い」


「いやさ……こういうのって、いっつもワリカンじゃん。たまには奢りたいってゆーか、あんたに金使わせたくないってゆーか……」


「そんな、似合わないことする必要ないだろ」

「……お言葉を返すようで至極恐縮なのですが、こっちにも一応、男のプライドというものがありまして」

「これくらいで卑屈になる男が、男のプライドを語るな」
「卑屈にもなりたくなるぞ?! これじゃまるで、俺ってば愛人じゃんか。つーかヒモじゃん!」
「……ワリカンや奢りを繰り返しただけで、なぜそこまで話を飛躍させられる……?」
「自分の金は一切使ってないのと同じじゃんか」
「いや、ワリカン分は、シンのお金だろ?」


「……今、すっげー揚げ足取られてる気がするの、俺だけか?」


「お前だけだ」
「あんたって、俺をへこませる技術だけは天下一だな」

「そんな技術あってもなあ…………あ! シン、アイスが!!」
「え? ……ぅわあ! いつの間に溶けてきてんだよ! げ、ベトベト……」
「早く食べろ!!」
「つったって、どんどん溶けて――」
「――ああ、もう!!」

「お、おい! ちょっ……これ、俺の……何であんたまで食べてんだよ!」
「二人で食べた方が、早く無くなるだろ!」

「けど、あんた、自分の分は?」
「へ?」

「まだ溶けてないけど、人の構うより、自分の分食べた方が……」

「……二人で食べた方が、早く無くなるって言っただろ?」
「いや、だから――」
「だから……私の分も、二人で食べれば良い」


「…………ふたりで?」
「……いやか?」


「むしろ一緒に食べたい」
「じゃ、早くこっち食べてしまおう。な?」

「……うん」




-end-
そしてこの後、二人は仲良くデート再開(笑)



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