イザーク×シホ



※前書き
執務室での隊長と部下。イザークは報告書について話そうとするけど――……





「ああ、素敵……」

「昨日の一件の報告書、明日までだからな」

「麗しの瞳……流れる銀髪……」

「それから、MSの整備に口出しするのはパイロットとして当然が、お前の場合は出しすぎだ。整備班からクレームが来てる」

「低く整った声、すらりとした体系……もう、全てがパーフェクトです、隊長!」


「……人の話、聞いてるか? シホ」
「私をなめないで下さい。隊長のお言葉、一言一句たりとて聞き逃してしまうような、ふざけた耳は持ってません!」


「一言くらいは聞き逃しても、文句を言ったりしないぞ……?」
「甘い! 甘いです隊長!! そんなんだから、部下が若干一名つけ上がってるんです!」

「まあ、そこは俺も頭を悩ませている所だが――」

「何ですって?! 隊長、あの馬鹿のせいで、夜も眠れないほど深いお悩みを抱えてらっしゃるのですか?!」
「誰が奴のせいで不眠症になるか! 俺はただ、もう少し真面目に職務についてほしいと――」
「いやあああああっ! 隊長の思考が、あんな単細胞緑色で染められてるなんてえええええっ!」
「いちいち誤解を招くような表現をするな!」

「どこが間違ってると言うんですか?! 今だって隊長は……隊長はっ……」
「なんでそこで涙ぐむ!! そもそも、上司が部下の心配をするのは、ごく当たり前のことだろうが!!」

「なら隊長は、私のことも考えて下さってるんですか?」
「な……んだ? 突然、神妙になって……」

「今、頭の片隅ででも、私のこと、考えて下さってますか?」
「そりゃ、目の前にいるから……」
「なら、目の前にいない時は? 例えばディアッカと話しているとき、私のこと、思い出して下さいますか?」
「…………時と場合によっては」

「なんですか、そのハッキリしない態度は。隊長らしくない」
「話題が出れば、思い出す」
「じゃ、話題が出なかったら抹消ですか? ポイですか?! 私の存在なんて、ゴミ箱行きですか!! くーやーしーいーっ!! ディアッカのことは、会話にまで絡ませてくるのにーっ!!」

「それは、お前が出したからだろう!」
「私が?」
「言っておくが、先に奴のことを持ち出したのは、そっちだぞ?!」
「………………言われてみれば」

「ったく……勝手に先走るな」
「申し訳ありません」
「敬礼しても騙されんぞ」

「そんな真面目な所も素敵です、隊長」


「……言ってろ」





-end-
麗しの隊長に目を輝かせるシホ嬢。
何で彼女は、いつもこんなにテンション高いんだろう(謎)



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