いえなかった言葉



「まだごめんって言って無いのに……」

ナタルに連れられ、AAを降りるフレイ、そしてムウ……三人を見送ったミリアリアの目には、涙が溢れていた。

「ミリィ……」
「私……わたし、たくさんフレイを傷つけたのに……結局、あやまれなっ……」

彼女はフレイに謝りたかった。
苦しいとき、悲しいとき、近くにいながら力になってあげられなかった自分。そして数日前、自分が捕虜に殺意を覚えたときも、「違う」と彼女を拒絶した。
今なら思う。そうじゃない。拒絶してはいけなかったんだ。
同じ苦しみを知っているのだから……二人は、分かり合える存在なのに。
こんな……喧嘩別れみたいな形じゃなくて、もっと、別の姿があったはずなのに。

降り行くフレイを見たら、何も言えなくなってしまった。

「大丈夫。二度と会えないわけじゃないんだ。次に会った時、ちゃんとフレイと話せば良いさ。な?」
「うん……」

自分もフレイと話したい――そんな思いも込め、サイはミリアリアを励ました。

――これが、今生の別離になるとも知らずに――




-end-
種時間軸・フレイAA退艦直後のサイ&ミリィさんのお話。険悪な空気のまま別れる事になったのを後悔するミリィさんを。
ラスト一文に全ての書きたい事全てを詰めてます(^^;

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