ゆき



雪が舞う。
はらはら、ひらひら、粉雪が。

「……きれぇ……」

生まれて初めて訪れた地で、ミリアリアは生まれて初めて『雪』を見た。
オーブは温暖気候のため、異常気象でも起こらない限り、雪は降らないのである。

はじめて見た雪は、地に落ちる瞬間に融ける、儚いもの。
朝焼けの光が反射して、雪は何とも言えない輝きを放っていた。

「運が良いな〜、ミリアリアは」

ほら、と淹れたてのコーヒーを彼女に渡すと、ディアッカは立ったまま外を眺めた。
大きな窓から見える、きらきら光る雫の結晶達。

「天候管理されてるプラントでも、滅多に見れない代物だぞ?」
「滅多にって……どれくらい??」
「う〜ん……一年に二回見れれば良い方かな……」
「そんなに?!」

思わずミリアリアは声を上げた。
一年に二回見れれば良いモノを、彼女は初めてプラントで夜を明かした日に見てしまったのだから。

「なんか……一生分の運を使い切っちゃった気分……」
「そこまで運が必要って訳でもないと思うけど……気に入った?」
「うん」

彼女はあっさり言い放つ。
するとディアッカは、コーヒーを口に含みながら。

「なら、こっち住んじゃえば? 案外、今年二回目のもナマで見れるかもしれないぜ?」
「こっちに住む――?」

ミリアリアは首を傾げ――


ぼひゅっ。


ディアッカの言わんとしていることに気がついて、真っ赤な炎を顔に灯した。





-end-
結びに一言
四季第四弾、冬模様編。
プラントに遊びに来たミリィさんが、ディアさんのお家にお泊りするお話。
七国推奨ミリィさんお泊まり理由→エルスマン夫婦に家に泊まれと言われた……って、これって家族公認ってこと??

*前次#
戻る0


- 24 /69-