枯葉舞う



秋は寂しい。急に寒くなって、落ち葉がカラカラ音を立てる。

セピアに染まる世界。
まるで光を失った様に、物悲しい感覚に襲われる。


時が止まるにも似た眩暈……


好きな人を失って、ミリアリアは色を失った。
それでも彼女は立ち上がり、辛い戦いを生き延びて……今、ここにいる。

大地に立っている。

AAを降りた彼女の目に映る、赤茶けた情景……それはミリアリアに、孤独を感じさせた。
あの、苦しい思い出がよみがえる。

みんなといた時は、トールのことを思い出しても笑っていられた。
彼の死を乗り越えられたと……そう思っていたのに。

……違うようだ。

笑っていられたのは、みんなが彼女に、笑う力を与えていたから。
彼らの力と慌しい毎日が、悲しむ心を取り除いてくれていた。

「……トール、は……」


もういない。
本当に――いない。


一人になったミリアリアに、重苦しい悲しみがのしかかる。


戦争が終わっても、戻らない日常。

平和になったかもしれない。
ナチュラルとコーディネーターとの間で、争いは起きなくなるかもしれない。

でも、トールとフレイは、もういない。
あの二人と過ごした時間は、戻ってこない。

かさかさと、地を這うセピア。
枯葉の舞う音を聞きながら、ミリアリアは一人、涙する……





-end-
結びに一言
四季第三弾、秋模様編。
茶色に染まる秋、それは夕暮れにも似た寂しさを見せる……



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