マリュー



「帰ってくるって、言ったのに……」

ストライクが散った。
AAを守って。
……マリューを守って。

ムウは。

粉々に飛散するストライクを、見続ける事が出来ない。
彼を討ったドミニオンを、目に入れる事が出来ない。
悲しみが先行する。


〈ナタルっ……!!〉


でも……悲しみにうちひしがれている訳には行かない
今はまだ、戦闘中なのだから。


今なら討てる。


頭に響く声。
撃ってきた。今までだって、ドミニオンとは激しい交戦を繰り広げてきた。

迷ってはいけない。
躊躇ってはいけない。

――が。
あそこにいるのは、ナタルなのだ。
かつての仲間――を、討つ?


私が――討つ?!


〈……ナタル……〉


頭に浮かぶ彼女の顔。それはほとんどが眉間にしわを寄せた、軍人の顔だった。
嬢に流されやすいマリューと、軍人気質のナタル。水と油、意見の衝突も沢山あった。

でも。
平和になったら。
手を取り合えると。


友達と呼べる存在になるはずだったのに――


「……ローエングリン照準……」


討たなければならない。


もう会えない。


別れ際、ナタルが見せた一瞬の微笑みが蘇る中。
覚悟を決めたマリューの雄叫びと共に、破滅の光がドミニオンへと放たれた。






-end-
結びに一言
あの瞬間のマリュさんの心はこうであってほしい…とゆー七国的願望です。



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