アストレイ三人娘 誰もが、平和のために戦った―― 「!!」 その一報を聞きつけたカガリは、格納庫に駆けつけた。 惨状ともいえる空間の中、目的の人物を見つけ、足を止める。 信じられないように。 ありえないものを見るように。 震えながらカガリは、膝をついた。 そこに横たわる少女は、数時間前まで笑っていた。 「いってきます」と手を振って、元気に飛び出していった彼女。 「うそ……だろ?」 大粒の涙を溜めながら髪をかきあげるが……反応は無い。 「なあ、返事しろよ……」 上半身を抱き上げると、腕がだらりと投げ出された。 身体に全く力が入らない……いや、入れる術を失っている。 「マユラぁ……!」 カガリの――数少ない『友達』と呼べる人物が一人、この世を去った。 亡骸を抱きしめ、むせび泣くカガリ。その様を数歩離れた所から、アサギとジュリも哀しげに見つめる。 「……アサギ……」 「泣くんじゃないよ、ジュリ」 「う、ん……」 今にも泣き出しそうなジュリと、必死に涙を堪えるアサギ。 二人はずっと、マユラと行動を共にしてきた。三人で一人――そんな思いで戦ってきたのだ。 泣いちゃいけない。 泣く暇があるなら、もっと強くならなくては。 マユラが最後に見せた笑顔を思い出しながら、アサギはポツリと呟いた。 「あんたの分まで、カガリ様のこと、守るからね……」 虚ろに漂う喪失感が、泣くまいと決めた瞳から、一筋の涙をこぼさせた…… -end- 結びに一言 仲間を失った喪失感を抱えながら、二人は再び戦場に立つ。 - 15 /69- |