アストレイ三人娘



誰もが、平和のために戦った――



「!!」

その一報を聞きつけたカガリは、格納庫に駆けつけた。
惨状ともいえる空間の中、目的の人物を見つけ、足を止める。

信じられないように。
ありえないものを見るように。
震えながらカガリは、膝をついた。

そこに横たわる少女は、数時間前まで笑っていた。
「いってきます」と手を振って、元気に飛び出していった彼女。

「うそ……だろ?」

大粒の涙を溜めながら髪をかきあげるが……反応は無い。

「なあ、返事しろよ……」

上半身を抱き上げると、腕がだらりと投げ出された。
身体に全く力が入らない……いや、入れる術を失っている。

「マユラぁ……!」

カガリの――数少ない『友達』と呼べる人物が一人、この世を去った。

亡骸を抱きしめ、むせび泣くカガリ。その様を数歩離れた所から、アサギとジュリも哀しげに見つめる。

「……アサギ……」
「泣くんじゃないよ、ジュリ」
「う、ん……」

今にも泣き出しそうなジュリと、必死に涙を堪えるアサギ。
二人はずっと、マユラと行動を共にしてきた。三人で一人――そんな思いで戦ってきたのだ。

泣いちゃいけない。
泣く暇があるなら、もっと強くならなくては。

マユラが最後に見せた笑顔を思い出しながら、アサギはポツリと呟いた。

「あんたの分まで、カガリ様のこと、守るからね……」

虚ろに漂う喪失感が、泣くまいと決めた瞳から、一筋の涙をこぼさせた……





-end-
結びに一言
仲間を失った喪失感を抱えながら、二人は再び戦場に立つ。



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