片やカガリは…



「で、キラが審判か」
「まあ、そんなとこ……カガリは? 僕を探してたみたいだけど……お出かけ?」
「そーなんだ! キラ……あのさ、この服……変じゃないよな?」
「え? うん」

突然ジャケットを直しながら、カガリはキラに、自分の出で立ちを確認してもらった。どうやら、お出かけ衣装に変なところが無いか見てもらいたくて、キラを探していた様である。
いそいそと髪を直したり……中々の気合の入りようで。

「……どこ行くの?」

多分、ラクスと出かけるのだろう――などと思いながら訊くキラ。しかし彼女は意に反し、とんでもない人物の名を上げてくれた。


「イザークと、映画に行くんだ」



ぴしいっ。



突如放たれた爆弾発言に、アスランとシンから、人外の音が響く。

言った。
言い切った。
イザークと映画、と。

つまり――


「それって……イザークとデートって事?」
「やっぱ……そういうことになる……よなぁ……」


方や、顔を引きつらせるキラ。
方や、顔を真っ赤にしながらも嬉しそうなカガリ。
方や……もはや白い固形物と化してしまっているアスランとシン。


哀れ。


「じゃ、私、そろそろ行くな」
「うん。気をつけてね……」

見送れたのは、キラだけだった。
パタンと扉が閉まる。
ただ静かに時が流れる。
窓から、そよそよと舞い込む風。
数秒後――沈黙のまま、ゆらりとアスランが立ち上がった。

「……どこ行くの?」

キラの問いかけに、アスランは目を光らせ――

「いや、確かドッグにジャスティスがあったなー……と」
「ええ?!」

恐ろしいことを口に出すアスランを前に、シンもまた、立ち上がる。

「そういえば、デスティニーも、いつでも起動できる状態にしてたはず……」

――なんて呟きながら。

昨日の敵は、今日の友。
二人は顔を合わせ、同時に頷くと――音の速さで部屋を飛び出していった。

残されるは、キラ一人。
彼も呟く。


「……僕もフリーダム、持って来ようかな……」


ここまで強制的に付き合わされて、最終的に、ほったらかし。
寂しく嘆くキラの瞳は……半ば本気に輝いていた。


-end-

結びに一言
イザカガ落ち(笑)
[赤の騎士VS運命の剣]とゆータイトルを使いたいためだけに出来た話だったり(^^;

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