思い出が生みだす安らぎ…




ごめん、と謝りたいけれど、その言葉さえ出てくれない。

――と、後悔で心が押し潰されそうになったときだ。


「……ぼくは、見つけるよ」


力強く、キラが言う。


「たとえどんな所にいたって、フレイを見つける。絶対、見つけ出す」
「うそよ……そんな、その場しのぎの嘘なんていらなぃ……」
「嘘じゃない」

真摯な瞳で、彼は断言した。



「フレイは、ぼくが見つけるよ」

優しく。
ただ優しく、フレイの頬に手を滑らせて。


「だから、泣かないで」
「…………」


静かに、フレイは風船に手を伸ばした。
哀しいくらい、紅い風船。

「……ほんとうに?」

か細く。小さく。


「ほんとに、見つけてくれる……?」
「絶対、見つける」


風船のヒモを手にしたフレイの手は、ほぼ同時に、キラの手によって包まれる。
その瞬間、フレイの心に、何ものにも変え難いほどの『安らぎ』が舞い降りた。





どうか、その手を離さないで。
私の心を追いかけて。
私の悲しみを見つけて。
私を『愛』で包んで。

……私を一人にしないで……





それは、フレイがまだ気づいていない、自分の中の本当の願い――……





-end-


結びに一言
初キラフレです。
通じ合ってるのにすれ違う、もどかしい二人の恋。そんな話にしたくて……

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