ルナマリアが抱く感情の名は


「じゃあ……もし私が、その娘と戦ってたら?」
「え?」
「私がその娘と戦って、私が勝ちそうになったら……シンはどうするの? 私を止めるの?」
「――――」

言葉を失うシン。

「もし……私が殺されそうになったら……あんたは黙って見てるの……?」
「そんなこと――」
「その娘を殺さないと、私が殺されるとしても?」

意地悪な質問だ。
答えられるわけが無い。

だってシンは……


その娘のことが、好きなんだから……





――わたしよりも――





数秒、沈黙が続く。その後、シンが小さく、口を開いた。


「俺……オレ、そんなこと……出来ないよ……」


それはまるで、泣き声。


「ルナもステラも、同じだけ、大事な人なんだ。どっちか片方見殺しなんて、考えられない!」


同じだけ、大事?
違うよ、シン。
気付いてないの? 私とその娘相手じゃ、目の輝きがまるで違うこと。


全身で、好きだって言ってること。


「ごめん、ルナ……でも俺、もし二人が戦うなんて事になったら、きっと、全力で止める。殺すとか、殺されるとか……絶対嫌だ」

シンは優しすぎる。
戦場に身を置くには、とても優しすぎる。
もし本当に戦うとなったら、止めるなんて無理なのに。

けど、シンが本気でそう思ってるのも事実なら――

「……分かったわよ」

私は小さくうな垂れる。

「なら、全力でその娘、守ってあげなさい」
「うん……ありがとう、ルナ」
「……私別に、お礼言われるようなことしてないけど?」
「でも、ルナだって、俺のこと心配してくれてるんだろ?」

心配……してる。
するに決まってる。
毎日毎日この部屋にお見舞いになんか来て、艦内でのシンの居場所は、少しずつ無くなって来てる。


心配。


それ以上に――


「……ほどほどにしなさいよ?」

言って私は部屋を出た。

シンを心配する以上に――二人っきりにしたくない。
それ以上、仲良くならないで。


シンがどんどん遠くへ行く。
私を置いて、別の場所へと歩いていく。


……だから私は、あの娘が嫌い……





-end-


結びに一言
ステラに嫉妬するルナ。
それよりも書きたかった、シンの心の矛盾点。
……テーマ定まってないので、ボロボロです(号泣)

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