食べたくないわけないじゃなないか




「あ〜、美味い〜。ルナの飯より断然美味いね」

アウルの行動は、ルナマリアを苛つかせる。

「……なら食べなくて良いわよ」

彼女はアウルからお弁当を取り戻すと、一人で昼ご飯を食べ始めてしまった。
まだ箸すらつけていない段階での最悪の感想は、ふて腐れさせるには最適な言動である。

「……る、ルナ?」

怒り心頭のルナマリアは、アウルの声に耳すら傾けない。

「なあ、ルナ、俺、お腹すいてる……」
「クッキーの方が美味しいんでしょ?」

眉間にしわを寄せて、サラダを口の中に入れる。





――こんなに上手に出来たのに――





少しだけ、目頭が熱くなる。





――アウルのために、作ったのに――





アウルと一緒に食べたくて。
アウルに食べてほしくて。
一生懸命作ったお弁当。
なのに、食べもしない内から、あんなこと言われて……


知らない。
アウルなんか知らない。
もう、アウルなんかに食べさせてやんない。




膨れっ面のまま、ルナマリアは玉子焼きに箸を伸ばした。
おかずの中で、一番綺麗に出来た玉子焼きに。
と――


「いっただきー」
「あーッ!!」


アウルがお弁当の端っこに残っていた玉子焼きを奪い取っていく。その瞬間――彼女の中で、何かが弾けた。

「あんた、何で勝手に取ってんの?!」
「だって、ルナが弁当くれないから――」
「いらないって言ったの、アウルじゃない!!」
「――いらないなんて、言ってない!!」
「い――……ぇ、え??」

思わぬ切り返しに、ルナマリアは言葉に詰まり、目をぱちくりさせてしまう。
その間に、アウルは奪った玉子焼きを味わい、ごくんと飲み込んだ。
そして、一言。

「美味しいじゃん、なかなか」
「……クッキーの方が美味しいくせに」
「冗談に決まってんじゃん。真面目に取んなよー」
「…………」

ルナマリアは無言のまま、床を見る。
どこまで本気か分からない。これすらも、冗談のように思えてしまう。
……けど。

「ほんとに美味しいよ?」
「今更褒めたって遅い」

むくれながらも、アウルの笑顔は――すごく嬉しかった。




-end-


結びに一言
O.M.N.I.学園には連合の方々が。
Z.A.F.T.学園にはザフトの方々が通ってる、って自分設定満載な学園パロディ系でお届けです(や、最初に書け)

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