そんなゲームです


すうっと息を吸い込むと、彼女は意を決し――


「――……き」
「はぇ?」
「だから、アウルが好きって言ったの! 背中の言葉は『アウルが好き』!!」
「ええ〜っ、言えちゃうの?! これは予想外……」

よほど楽しい罰ゲームを用意しているのか、彼はひどく残念がった。


何だかこう……むかつく。


人が折角、ありったけの勇気を振り絞って言ったというのに……

「ま、言っちゃったもんは仕方ないよね〜。アウルが好き、か。ルナってばそんなに、俺のこと好き?」
「そ――れは、アウルが――」
「だーってルナ、言っちゃったし」

言ったら言ったで、この始末。
無理矢理言わせてコレなのだから……

「一度口に出したものは、そう簡単には撤回出来ないよ〜? しかも、自分で言っちゃあねえ」
「……言ったわね〜? ほら! 次はアウルが書かれる人! さっさとそっち向いて!!」

力任せにアウルを反対側に向かせ、ルナマリアは指を置いた。

「しっかり読みなさいよ?」
「ほいほい。お、最初の文字は『ア』ね?」

ルナマリアは、一文字ずつ大きく背中に書いていく。
それをアウルは、面白そうに読み上げていった。

「次が『ウ』」

「でもって『ル』」

「『の』がきて」

「『ア』」

「――……ルナ?」
「何? 最後の一文字、読まないの?」

拍子抜けするアウルと、冷たいルナマリアの声が響く。

「ええと……今のが、最後の一文字?」
「そう言ってるじゃない。さ、続けて読みなさい?」


――読めるもんならね。


小さく舌を出し、彼女は心の中であざけた。

「一度口に出した言葉は、そう簡単に撤回できないのよね?」
「ひっでー! ルナ、お前酷すぎ!! ここは俺に「好き」って言わせるとかさあ、色々あんじゃん、色々!!」
「そんなことしたら、アウル、飄々と答えちゃうじゃない」

ルナマリアはきっぱり言い切る。

「最後の一言をつけて読みきるか、罰ゲームを受けるか。どっちが良い?」


罰ゲーム?
それとも、答えてしまう?


勝ち誇る彼女を前に、アウルは――



「こんなハズじゃなかったのにーーーーーッ!」



ただ、悔しく悲鳴をこだまさせた。




-end-


結びに一言
背中で言葉を当てる……昔よくやった遊びから。
ちなみに、ルナの書いた言葉を繋げると[アウルのアホ]になります(^^;

短篇>>DM3にディアミリバージョン有り(ネタの使いまわし…)

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