8888踏 TAMA様より

リクエストテーマ
「罪に濡れた二人」


「……あーあ」

ディアッカがいる。
たった一人。
営倉で。
デッキブラシなんか手に持って。
ちょっと水に濡れながら、床に大の字になる彼は――

――完全に、ふてくされている。


それは、前日に起きた事件から始まった。





ツミとバツと






その日ミリアリアは、ある物を探して、居住区通路をきょろきょろしながら歩いていた。
物陰すらも見落とさないよう、目を凝らしながら。

「どこいったんだろう……」

ブリッジから始まった“物探し”であるが、一向に見つかる気配はない。

「……いない……」

まるで見つからない方が当たり前のように感じ、半ばあきらめのため息さえもれ始めた時だ。

「……そういえば」

側にある男の部屋を見つけ、足が止まった。
ディアッカ・エルスマン。確か彼は、この捜索隊のメンバーに入ってなかったはずだ。
これは一筋縄では見つからない。彼にも手伝ってもらおう――そう思って、ミリアリアはインターホンを押した。

「ディアッカ、いるー?」
《は? ミリアリア??》

返ってくる青年の声は、驚きに満ちたものだった。
確かにミリアリアがディアッカの部屋に来るのは――とてつもなく珍しいことだが、本人、ここまで驚かれるとは考えておらず、思わず目を点にしてしまう。
そして現れたディアッカを見て――もっと目が点になった。
なぜなら――

「珍しいな、こっち来んの」

扉を開けたディアッカは……なぜかズボンしかはいていなかったから。

いわゆる上半身真っ裸――

「――んて格好してんのよ、あんたはあああああっ!!」

用件も忘れ、ミリアリアは叫んだ。
あらん限りの声で。
大声を出したせいか、はたまた彼の姿のせいか、顔は真っ赤になっている。
しかしディアッカは悪びれた様子も無く、

「いや、だって暑い……」
「なら冷房入れなさいよ!!」
「クーラー嫌いなんだよなー、俺」
「つべこべ言ってないで、さっさと上着て!!」

ミリアリア、腹の底から怒鳴り声を上げ続けたせいか、言い終わった後には肩で息をしていた。
目の前がチカチカする。

「なんで俺が文句言われなくちゃならないんだ? ここ、俺の部屋だぜ?」
「確かに、あんたが自分の部屋でどんな格好でいようが知ったこっちゃ無いけど、人前に出る時は、服くらいちゃんと着てよ!!」

すでに半・涙目のミリアリアから、やけっぱちの悲鳴が上がった。

「分かった分かった。着るから、とりあえず入って」
「……はいはい」

渋々、ミリアリアはディアッカの部屋に入った。
彼女が手を出すまでも無く、扉は自動的に、エア音を鳴らしながら閉じられる。

二人は気付かなかった。
この時、音も無く、室内に侵入者が紛れ込んだことに――

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