35000踏 侑梛様より

リクエストテーマ
「ディアミリ甘々」


ずっと見ていた夢。
憧れていた事がある。
理由は何でも良いから――とにかく、疲れた俺を、ミリアリアが優しく介抱してくれる夢。

優しく。ここが重要。

俺は、優しいミリアリアに逢いたかった。



ずっとずっと、逢いたかった――





DREAM KNIGHT






……あー……だりぃ……
何か良く分かんねーけど、頭がだるい。

うつろいながら、俺は目を開けた。
そこは自室、ベッドの上。いつの間に眠ったのか……記憶が定まらないほど、ボーっとしてる。

睡眠しっかりとってるし、身体も絶好調と思ってたけど、自分の知らないところで疲れてたのか?

頭を被り振りながら起き上がると、不思議な現象が起きた。

「おはよう。随分遅いお目覚めね」

――?!

ひとのこえ。
そこで初めて俺は、隣に、人間の気配を感じ取った。思考を止め、声の方を凝視する。

「……どうしたの?」

視界に飛び込んできたのは、きょとん、とするミリアリアだった。


……全ッ然気付かなかった……
一応、寝てても人の気配に敏感になれるよう、訓練は受けてるはずなんだが……何だ? 感覚鈍ってきたか??

「……ディアッカ?」

ピンクの軍服に身を染めるミリアリアは、心配そうに俺を見る。

「いや、何も――」
「また、怖い夢でも見た?」

何でもない――そう制しようとした俺に、彼女は慈愛の瞳で手を伸ばす。


ふわりと漂う、甘い香り。


その香りが、俺の動きを縛り付けた。
香りもそうだが、それ以上に――ミリアリアの行動が。

「大丈夫よ」

言うと彼女は驚くべきことに、顔を近付け、身体を近付け――唇を、俺のこめかみに注いだ。

ギシッと身体が音を鳴らす。ええーと、何だ? この状況は。
ミリアリアが――俺に――俺の頭に――キスしてる??


は? 嘘だろ?! こいつがこんな事するはずねえっ!!


しかしミリアリアは、俺の混乱を他所に、小首を傾げてくれる。

「……なんかディアッカ、いつもと違う……」


いや、違うのはお前だから!!


叫びたかったが、如何せん驚きすぎて、声が出ねえ。

「やっぱり、疲れてるのね。このところ連戦続きだったから……待ってて、今、飲み物持ってくるから」

女神のような微笑と共に駆け出るミリアリアを見て、俺は心の底からこう思ってしまった。


夢だ。
これは、都合の良すぎる夢。
最後に待ってるのは、間違いなく夢オチだ――と。

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