25000踏 蜜柑様より

リクエストテーマ
「ディアミリデート」


「デートしたい」

男は、何の前触れも出しに言い出した。

「はあ?」

突然のことに、言われた側は眉を吊り上げる。

「デートって……今日?」
「おう。どっか行こうぜ」
「……疲れてるんだけどなー……」

と言いつつも、悪い気はしない。

「……行く所、もう決めてるの?」
「や、ミリアリアの行きたい所で良いかなー、と」
「そんな、いきなり言われても……」

実は、すでに行く気満々のミリアリアは、プランを全く持ち合わせない男の言動に、頭を抱えた。
そりゃ、行きたい場所はたくさんある。しかし、折角デートで行くのだから二人で楽しみたいし――となると場所は限定されてしまう……

どこにしよう。

悩めど、場所は決まってくれない。

「……ディアッカは? 行きたいとこ、無いの?」
「差し迫っては……あ、じゃ、こうしねぇ?」

言うなりディアッカは、テレビの電源を入れる。入っていた情報番組は、ちょうど占いコーナーの始まるところだった。

「ミリアリアのラッキーポイントに関係ある所に行こう」
「ラッキーポイント?」

この情報番組、星座占いのコーナーでは、星座別に『本日のラッキーポイント』なるものを紹介している。それはミリアリアも知っているが――

「……ラッキーポイントが箸だったら?」
「食べに行く」
「……マニキュアとか……」
「なら買い物か?」
「そーゆー決め方って……」

あまりのアバウトさに、頭痛すらしてきた頃だった。

《さて、本日の水瓶座さんのラッキーポイントは――》

さくさく進む占いは、早々と水瓶座=ミリアリアの星座までたどり着いた。
一体どんなアイテムが飛び出るのか――テレビを凝視していると、

《――遊園地です!》

『ゆうえんち?!』

瞬間、二人は顔を引きつらせた。






思い出の数だけ






そして二人は、遊園地にやって来た。
――というか、来てしまった。
例えどんな所でも、場所の選定をはっきり決めてしまった以上、いちゃもんをつけるのは気が引けて。

でも、聞いてしまう。

「ねえ、ディアッカ。あんた、遊園地に決まった瞬間、すごく嫌そ〜な顔してたけど、もしかして嫌い?」
「……いや? ミリアリアこそ、この世の終わりみたいな顔してたけど、嫌な思い出とかあり?」
「……なら、来るって言わないわよ」

怒った様に告げるミリアリア。
こうして――ちょっと険悪なムードではあるが、二人は久々に『デート』なる行事を行うことになった。

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