22222踏 ジュン様より

リクエストテーマ
「ラブラブバカップルディアミリ」


二人は距離をとり、対峙していた。
真剣な眼差しで互いを見ている。
厳かな緊張感に支配されるは、AAの、とある部屋。

「……ミリィ」
「ダメよ、だめ……絶対ダメ」

辛辣な顔で首を横に振るミリアリアに対し、それでもディアッカは訴え続けた。

「ミリアリア」
「そんな顔で見てもダメ! 私にそんなこと、求めないでよ!!」

懇願するディアッカを前に、ミリアリアは悲痛に拒否し続けた。
無理だ。彼の願いを叶えたい気持ちはあるが、それ以上に『出来ない』という思いが先行している。
その気持ちはディアッカも分かる。しかし彼は、あきらめたくなかった。
どうしても叶えたい欲求――

「頼む、ミリィ!」
「いやよ、もー……無茶言わないで!!」
「無茶は承知だけど、それでも俺は、ミリアリアの手料理が食べたいんだあああああ!!」


絶叫とともに、ディアッカは、手にしていた白い布地を突き出した。





情愛のエプロン






「……ひどい」

狭い部屋に反響する声が静まったところで、再び響いたのは抗議のそれ。

「ディアッカ、私が料理嫌いなこと、知ってるじゃない」
「……嫌いじゃないだろ?」
「……苦手だもん」

優しく、諭すようにつぶやくディアッカにおののきながらも、ミリアリアはそっぽを向く。
彼女は別に、料理が嫌いな訳ではない。どちらかと言えば、好きな方だと言えよう。
ならなぜ、ここまで料理に拒絶反応を示すのか――と聞かれれば数日前に起きたとある事件の話をしなくてはならない。

数日前、彼女は料理を作ろうとした。AAのキッチンは家のものと違い、大掛かりな設備が多く、特に業務用のコンロや鍋等は使ったことすらないのである。
でも彼女は……一応、厨房の若頭に立ち会ってもらって、簡単な夜食を作ろうとしたのだが……それでも、失敗するときは失敗する。火力の調整を間違え、作っていた夜食は炭火と化してしまった。


以降『料理』は、ミリアリアのトラウマとなっている。

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