リクエストテーマ
「ディアッカのかっこよさを前面に出したディアミリ」


鞄を投げたディアッカは、ミリアリアへとダッシュをかけた。
彼が一番最初にやるべきこと……それは、彼女の動きを封じる、あのむかつく男を張り倒すこと。
彼の心境は置いておくとしても、賢明な判断と言えよう。あの男をどうにかしない限り、ミリアリアをかばうことが出来ない。
ディアッカは、彼女の細い腕を乱暴につかむ腹立たしい手を払い飛ばし、殺意にも似た感情を込め、胴をけり倒した。

「がっ……!!」

息の詰まる声――そして男達も、ようやく戦闘体制に入った。
しかし、ディアッカの勢いは止まらない。彼はミリアリアの肩をつかみ、彼女をかばいながら、男達を倒していく。

「ディアッカ――」
「しゃべると舌噛むぞ!」

肩をつかまれている彼女は、あっちこっちへと体の向きを変えさせられている。どうなっているのか状況を見ようとすれば、ディアッカの身体に阻まれ、確認することが出来ない。

ディアッカは、自分の目の届かないところで敵を倒している――そう気づくまでに、あまり時間はかからなかった。

「ね、ディアッ――! 後ろ!!」

自分のことは構わず自由に動いてほしくて、半ば強引に彼へと目をやった瞬間、見えてきたのは、鉄パイプを振りかざした窃盗団員。

「危ない!」

悲鳴とともに、鉄パイプが振り下ろされる。
同時にディアッカは男へと向き直り、まるで鉄パイプの軌道が分かっているかのごとく、腕を上げた。
彼の構えたその場所に、鉄パイプは降ってくる。

「痛ぇんだよ!!」

獲物を受けたまま、長い足で男のみぞおちをえぐる。

「……すご」

ここでようやく、ミリアリアは現場を目にした。
自分達を囲む男――総勢九名。何人か、倒れたまま動かない人間も見える。
こんな中、自分という足手まといがいて、乗り切れるのか――

とか思ったら。

「貴様、先走るなと言っただろーが!!」

罵声一発、イザーク登場。一人の首根っこをつかみ、後ろへ引き摺り倒す銀髪青年を見つけると、ディアッカは大事な部分に訂正を入れた。

「言われてない! 俺が言ったんだ!!」
「だが実際、先走ったのは貴様だろう!!」

どうやら、スリを泳がせてアジトに戻った所を一網打尽……など考えていたらしい二人は、包囲する作戦もしっかり練っていたみたいだ。ただ――……囲まれるミリアリアを見つけたディアッカが、我慢出来ずに飛び出してしまっただけで。

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