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「ミリィにベタ惚れなディアッカさん」


その様を、遠くから眺めている人物がいた。
所用でAAにやって来た、キラとアスランである。
二人は遠巻きながら、ディアッカとミリアリアのやり取りを眺め……首を傾げてしまう。

「なんだ? あれ」
「……ミリィとディアッカに見えるけど?」
「それくらいは分かる……」

キラの返答に、アスランも肩を落とした。彼が訊きたいのは、あそこにいる二人が誰なのか――ではなく、あの二人は一体、あんな通路のど真ん中で何を騒いでいるのか――である。

「……恥ずかしくないのか? あんな……」

公衆の面前で、好きだの、可愛いだの。
――と言いたかったらしい。

しかし皆まで言うことなく、第三者が会話に混ざってきた。

「この頃ずっと、ああなんだよな」
「サイ!」

これまた偶然通りかかったのは、サイ。彼は頬をぽりぽりとかきながら近づき、二人の前で足を止めた。
キラは、驚きの表情で訊く。

「ずっとって……いつも?」
「出会い頭『愛してる』は当たり前。何かもう、新手の嫌がらせって感じだよ」
「嫌がらせ、だと……?」

その瞬間、アスランが表情を一変させた。
正義感あふれる少年には、聞き逃せない一言だったらしい。

「そんなものを放置しているのか? この船は!」
「え? あ、その……」

弁解を許す間もなく、アスランはディアッカの元へ歩いていった。
その姿を見て、サイはうめく。

「……見た目によらず、熱い男だね……彼って」
「まあ、乗ってるMSも『正義』だし」
「それはあまり関係ないような……」

キラの言葉に、彼は思わず、苦笑いを浮かべてしまった。

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