リクエストテーマ
「罪に濡れた二人」


そう、ハロだ。
ハロの残骸だ。
ラクスの大事な友達である、ハロの。

この場にあるはずのない存在の出現に、二人は我が目を疑った。

「いつの間に入ってきたんだ? こいつ……」
「知らないわよ」

先ほど、ミリアリアが入る時にこっそり入った侵入者の正体がハロなのだが――二人はそこまで考えが及ばない。今の今まで目に入ってなかったのも、理由の一つだろう。
実際二人は、お互いの存在が気になって仕方なく、他に意識を向ける事が出来なかった。ハロが壊れたのだって、そこら辺をウロウロ飛んでいたハロが、偶然ミリアリアが振り下ろした腕の軌道にいたおかげで、床に叩きつけられ、変わり果てた姿となってしまったのである。

哀れハロ。

……それにしても、派手に壊れている。相当の力を加えなければ、ここまでこっ酷く壊れたりはしまい。
ディアッカは悲壮な眼差しでピンクの残骸=ハロを眺めると、そのまま視線をミリアリアに移した。

「……ミリアリア」
「何よ」

ぽりぽりと頬を掻くと、彼は呆れた眼差しで呻く。

「お前怪力す――」



ごッ!!



「何か言った?!」
「い…………言わせてもらえませんでした……」

みなまで言い切る前に、ミリアリアの鉄槌がディアッカのみぞおちを抉った。
それはもう――豪快に。

「どーしよー……せっかく見つけたのに、壊れちゃって……」

痛みに悶絶するディアッカを他所に、ミリアリアはバラバラになったハロの部品を手に、悲しみに暮れた。

「……せっかく?」

顔をゆがめ、みぞおちをさするディアッカから、不思議そうな声が上がる。
ミリアリアは彼に目を向けることなく、ぽそりと呟いた。

「ハロ、行方不明だったの」
「……は?」
「今ラクスさんが会議でこっち来てるんだけど、ブリーフィングルームに向かってる最中に姿が見えなくなっちゃって、みんなで探してたの」
「……こいつが、行方不明?」
「で、あんたにも手伝ってもらおうと思って、声かけたの」

そしたら、見つかりはしたが――壊れてしまった。

そう、突然――本当に突然、ハロの姿が見えなくなって。
おかげで作戦会議のために集められた人材は、全て『ハロ捜索隊』へと入隊させられてしまったのだ。
今もなお船内では、地道な『ハロ捜索活動』が執り行われている。

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