リクエストテーマ
「罪に濡れた二人」


「――って、どーして私があんたの部屋に入ってんのよ!!」

はた、と気がつき、ミリアリアは思わず声を上げた。
入れと言われ、深く考えずに足を入れてしまったが、そもそも彼女は、ディアッカに会いに来たのではなく、ディアッカに頼みごとをするために、呼び鈴を鳴らしたのである。
部屋に入るまでも無く、戸口で済むことではないか。

「まーまー。固いこと言わないで」
「固いって――」

振り向き――絶句。
やはりと言うか何と言うか、ディアッカは上まっぱのままだ。
ミリアリアの顔はどんどん赤くなる。

「何で着ないのよ」
「お前の反応、楽しいから」
「な、によそれ……」

にわかに一歩、足を引くミリアリア。

「その初々しい態度が可愛くて」
「う――」


ぼっ!!


火の出る音が聞こえてもおかしくないほど、彼女の顔は真っ赤に染まる。そんなミリアリアを前に、ディアッカは口元を押え、必死で笑を堪えようとしていた。
……堪え切れていないが。

「わ――笑うことないじゃない!!」
「わり……ッくくっ……」

どうやらミリアリアの反応がツボにしっかり入ったらしく、とうとう声までもれ始めた。
唖然としてしまう。
なぜ彼はこんなに笑うのか。
とりあえず彼女は……笑うのは好きだが、笑われるのは嫌いだ。こうしている間にも、少しずつ怒りのバロメータは上がっていく。
だが、そんなことはお構いなく、ディアッカの笑いが止まる素振りはない。

そして我慢の限界点は……結構あっさり訪れた。

「あんた――いい加減にしなさいよ!!」

両手を振り下ろして、ミリアリアは身体全体を使って怒りを表現し――


――ガシャンッ


時同じくして、何かが壊れる音がした。

「いったー……」

宙を凪いだだけのはずの彼女の右手に、なぜか痛みが走っている。
何が起きた??
二人は不思議そうに、ミリアリアの足元へと眼をやった。


ピンクの残骸がある。
それは、丸みを帯びた愛らしい球体。


《……て・やん・で……ぃ》
『ハロ?!』

声が重なる。

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