リクエストテーマ 「【トール←ミリィ←ディア】のシリアス・ほのぼの」 「今の上司、俺の友人だから。てゆっか、あいつに背中押されたんだよね」 アスランと会った後、ジュール隊は、すぐさま宇宙ドック警護の任務を受けた。しかし着いた途端、今度は地球での短期任務を言い渡されたのである。 それはザフトからの支援物資の運搬……というもので。 滞在期間は、わずか一週間しかない。 「行ってこい」 そう言ったのは、銀髪の友人。 「地球に下りるなど滅多に無いんだ。……ちゃんと話をつけてこい」 会いたいと言ったわけでもないのに、ディアッカの心を知り尽くした友人は、躊躇うことなく彼を送り出した。 この恋に、決着をつけてこい……と。 一週間という短い時間で彼女を探し出す――それはとても労力のいる事だった。それでも彼は、使えるツテを全部使い、居場所を絞り込み……地球降下七日目、彼女が今日、この島を訪れるという重要証言を得て、朝からずっと待っていた。 ミリアリアが現れるのを。 「まさか再会場所が“ここ”になるとはなぁ」 感慨深く、ディアッカは言う。 ディアッカとミリアリアが最後に別れたのは、この島の――この場所。 寸分違わぬ“ここ”なのだ。 “ここ”でディアッカは――ミリアリアにふられた。 「それでも私、まだ……トールのこと、忘れられない……」 確か、こんな言葉だった。あの時を思い出すと、今でも胸が苦しくなる。 それはミリアリアも同じこと。 彼女はうつむいたまま、ディアッカと目すら合わせようとしない。 「まだ忘れられねえ?」 「…………」 ミリアリアは、言葉無くうなずく。 「二年もたつのに?」 「時間なんか関係ない」 辛そうに、彼女は顔をしかめた。 「二年たっても……まだこんなに彼を想ってるもの……」 それはまるで、小さな悲鳴。 ディアッカもまた、小さく呻いた。 「……ライバルは益々手強くなりましたか」 「何?」 「ああ、こっちの話」 気にすんな、とパタパタ手を振ると、 「そんなに忘れられないんだ?」 「……うん」 「俺は……それでも構わないんだけどな」 思いもよらぬ言葉に、彼女は顔を上げた。 ディアッカの、やけに寂し気な顔に、一瞬心が戸惑いを見せる。 ほんの一瞬だけ。 「……何言ってるの?」 次の瞬間には、ミリアリアの表情は全く違うものになっていた。 眉をつり上げ、非難するように。 だがディアッカは引かない。怒りの形相すら見せる彼女に、自分の思いを訴え続ける。 「だから俺は、お前がトールって奴のこと好きでも良いって」 「トールのこと好きなまま、あんたと付き合えってこと? ふざけないで!」 「ふざけてない」 「ふざけてるじゃないっ!! それじゃあんたに――」 ヒステリックに叫んでいたミリアリアが、突然冷静さを取り戻した。 自分が言おうとした言葉に驚いて。 ――それじゃ、あんたに悪いじゃない―― |