リクエストテーマ
「超ドキドキするミリィ」


ディアッカは、そこまで自分を見ているのか。
純粋に嬉しかった。自分を気にしてくれてることが、とても。
喜びを実感して、ディアッカを見ようとして――

「やっぱり痩せてる」

瞬間、目の前が赤で染まる。
それはディアッカの赤ジャケット。
身体全体で感じる人のぬくもり。


どうやら彼女は、抱きしめられている――らしい。
頭が真っ白になる。


「お前、ちゃんと食べてるか?」

呼びかけに答える余裕など、ミリアリアにあるわけが無い。


耳元で囁かれる声。
恐ろしいほど甘い、ディアッカの香り。
心音だけが激しい音を立てる世界で、ミリアリアは祈った。


――もう勘弁して!


限界だと思った。これ以上、この速すぎる心臓には耐えられない――と。

すると……祈りが天に通じたのだろうか。ディアッカが自分から、その身を離した。

そして一言。


「かわいいなあ」


満面の笑顔で。

ミリアリアは良く知っている。ディアッカがこの顔をする時は、必ず、自分の企んだ何かを成し遂げた時だ。

つまり――遊ばれた?

そう思うと、頭に血が上ってくる。だが怒りを表現する前に、

「じゃ、飯でも食いに行くか!」
「え、ちょっ――」

ディアッカに手を引かれ、展望室から連れ出されてしまった。


〈……何でこうなるのよ……〉


心の中で文句を言って、ディアッカの背中を睨みつける。


とても大きな背中。
たくましい後姿は、静まりかけてた心臓を、再び活性化させてくれる。

〈いつまで続くんだろ……この生活〉

ため息混じりに、ミリアリアは思った。



いつも間にか意識するようになったひと。

その目で見つめられ、その香りで身体を包まれ、その声で囁かれ……

ディアッカの一挙一動が、彼女に早鐘の心臓をくれる。


そして、いまも、まだ。
彼女の鼓動は速いまま――





-end-


結びに一言
どうも七国はご飯ネタに持っていきたいらしい(汗)

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