キララク風味を織り交ぜつつ…


「ほら、あの垂れ幕見てみろよ。カップル来場で試着無料体験実施って書いてるんだし」
「あのね、こーゆーのは、結局ドレスの押し売り受けることに――」
「まーまー。固い事言ってないで、とりあえず入ろーや」
「えええええっ?!」

結局ディアッカは、ミリアリアを引っ張って、中に入ってしまった。

するとそこは、別世界。

ウェディングドレスを身に纏いながら、晴れやかな表情を見せる女性達で溢れかえっていた。

「……すご……」

あまりの眩さに、ミリアリアも目を輝かせる。
その横で、ディアッカは係員をつかまえ、色々と説明を受けていた。

「なあ、やっぱり着て帰るだけで全然オッケーらしいぜ? 着てみろよ」
「だけど……」
「着たいんだろ?」
「遠慮なさらず、どうぞ」

ディアッカに続き、彼と話していた係員も、ミリアリアの説得に乗り出す。

「今回のフェアは、わが社のドレスを幅広い層に知ってもらうための催しなんです。一人でも多くの方に知ってもらうための試着展なので、どうぞ、袖を通して行ってください」
「は、はあ……」

笑顔の係員を前に、ミリアリアは頷くことしか出来なかった。

「では、どちらにしましょうか」
「じゃあ……あれで」

指を差したのは、ショーウインドに飾ってあったのと同じタイプのドレス。係員がそれを持ってくると、彼女はとても嬉しそうにはにかんだ。


相当気に入ったらしい。


着付係と共に、ミリアリアは試着ルームへと消えていく。
そして、残されたディアッカは。

「なあ、ちょっとイイ?」
「はい?」

何か企んでいるような微笑を、係員の女性に向けていた。




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