キララク風味を織り交ぜつつ…


「へえ〜、キラもやるねえ」
「でしょ? ほんと、びっくりしちゃった」

翌日、清々しくも晴れ渡った空の下を歩きながら、ミリアリアがマルキオ邸で出くわした「ウェディングドレス騒動」を話すと、ディアッカは素直に驚いた。
素直に驚かれて――自然に茶化す。それをミリアリアは、いさめることなく、ごく普通の、当たり前の反応として受け止めている。


〈感化されてるなー〉


この頃よく思うことだ。どんどん思考がディアッカに似てきている。
いや、どちらかと言うと――したたかになっている様な。
まあ……この男と対等に渡り合うには、したたかさはかなり重要なスキルではあるが――


〈――あ……〉


考え事をしていたミリアリアの目が、あるショーウインドに捕まった。
目が離れず、足も止まったまま。

「どうした?」

全然動き出さないミリアリアを不審に思い、ディアッカもまた、彼女が捕らえられるショーウインドを見やった。


ウェディングドレスがある。


「きれー……」
「気になる?」
「そりゃ、女の子としては」

一度は着てみたい……と思うのが心情である。
するとディアッカは、とんでもないことを口走った。

「じゃー、着てみっか」
「何言ってるのよ。そんな簡単に着れる物じゃ……」
「それが、着れちゃうんだよな〜」

気付けば、ディアッカの視線は一段高い所に向けられていて……視線を重ねてみると、大きな看板に行き着いた。


――ブライダルフェア実施中――とある。


「なんか、無料で着まくれるみたいだぞ?」
「でも、着るだけで帰るって……」

渋るミリアリアを、それでもディアッカは誘い続けた。



*前次#
戻る0