戦後・オーブ設定でお届けです


「……何よ」
「は?」
「……何でそんな、見てるのよ……」
「えー……と……」

なぜか言いよどんでしまった。
可愛いから――なんて、いつも言ってることなのに。
今更ながら、見惚れてしまって。

「…………可愛くて」
「嘘くさい」

何とか言葉にしてはみたものの、彼女はあっさり切り捨てた。

「いや、嘘くさいとか言われても……」
「あんたのやってること全部が嘘くさい」
「……でも、可愛いって思ったから」
「うそ」

ミリアリアは、ディアッカの言葉を受け入れない。
だが、ディアッカは諦めなかった。

「可愛いよ」
「……そんなの、私じゃなくても……」
「ミリアリアだから可愛いの」
「……変な理屈、こねないで……」
「理屈?」

思わずディアッカは、顔をしかめた。

「どこが? 好きな子だから可愛いってことの、どこが変な理屈なんだ?」
「…………だって」

ミリアリアは呻く。

「……今日、ディアッカ、全然楽しく無さそうだったし……」
「いや、結構楽しかったけど……」
「……本当に?」
「本当に」
「…………」

しばし思いふけるミリアリア。きっと、今日一日のことを思い出しているのだろう。

ディアッカが、どんな顔をしていたか。
ディアッカが、どんな態度だったか。

「だからさ、機嫌直してくれよ。な?」
「……………………ごめん」

口を尖らせ、彼女は謝った。
小さく謝って、ディアッカを見て……仲直りしたのだから、デートの続きが始まる――かと思いきや。

……そのまま、動かない。

まるで時間が止まったかのように、彼女は硬直し続けた。

「……降りないの?」
「降りるわよ!」

さすがに不審に思うディアッカ。ミリアリアは――意気込むものの、やはり降りようとしない。
場所は滑り台。ただ、滑ればこと足りる話なのだが……

「ただ、その……汚れちゃうなあ、って……」
「じゃ、上んなよ」
「高い所に上りたかったのよ!」

激しい後悔から、ミリアリアはうずくまってしまった。


――滑るのが駄目なら、階段使えば良いのに――


とは思ったが、味気ないので却下する。
もっと良い方法があるから。

「なら、こっち来いよ」
「こっち……?」

見れば、ディアッカは両手を広げていた。
つまり、飛び降りろ、ということで。

「ででで、出来ないわよ!!」
「滑りたくないなら、これしかないぞー」
「ううううう……」

手すりをぎゅっと握りしめながら、ミリアリアは考えた。
汚れるの覚悟で滑り降りるか、プライドを捨ててディアッカに受け止めてもらうか。

――いや、捨てるプライドもないか。

思った瞬間、笑いすらこみ上げてしまった。

しっかり受け止めてもらおう。
自分の身体も、想いも全て。

「ちゃんと、受け止めるんでしょうね」
「俺を誰だと思ってんの」
「……ちょっとでも痛かったら、一週間は口きかないからね」
「分かった分かった」

その瞳にディアッカを焼き付けて。
彼女は、彼の元へと飛び降りる。

それはさながら、天使のように――





-end-

結びに一言
ディアミリ仲良くお買い物〜♪ 本当は、白いコートにもちょっと小ネタを挟もうとしたのですが、まとめきれなかったので、ばっさり切り落としました(滝汗)
……日々精進(T-T)

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